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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

男性保育士は着替えさせちゃダメ?

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ミニカーが大好きな息子です

ミニカーが大好きな息子です

 先週末は少し暖かかったので、スケートリンクに遊びに行きました。娘がスケートをするのは2回目ですが、今回はそれなりに転びつつもバランス感覚が身についてきたようで、終わりの方には少しなら自分一人で滑ることができるようになっていました。私も夫も車に乗れないので、電車ですぐに行けて、少し特別な体験ができるスケートリンクはとてもありがたい場所です。今シーズン、また何回か行こうと思います。

千葉市長のつぶやきが議論の発端

 千葉市の熊谷市長の男性保育士に対するツイートが話題になっています。「『男性保育士活躍推進プラン』についてツイッターで言及した際に、女児の保護者から男性保育士に着替えさせてほしくないという要望があるけれど、女性なら社会問題になる事案であり、性差による不当な対応をやめていく」という内容のことが書かれており、賛否両論を呼んでいるようです。これに関してはすでにいろんな方が意見を書かれていますが、私も意見を述べてみたいと思います。

「性犯罪は男性が加害者」という思いこみ

 娘が通っていた保育園には、男性の保育士がおられました。私は特に気にならなかったのですが、私の母は「男性保育士による着替えは気になる」と言っていて、議論になったことがあります。

 「息子が女性保育士に着替えさせてもらうのはいいのか」と問いますと、それは気にならないそうです。差別や偏見が元になっているかどうかは別として、そういう感覚の人が一定数いることは分かります。「男児を女性保育士に着替えさせてほしくない」という人もいるかもしれませんが、おそらく少数でしょう。性的な加害者となるのは男性で、女児や女性がその対象であるのが一般的という感覚を持っている人は多いと思います。

産婦人科医療でも同様の議論が

 私は産婦人科の医療現場に長くいますが、確かに女性医師を希望する患者さんは多いです。しかし、女性医師でなければ診察を拒否するという患者さんは少なく、診察の必要性があり、医療という専門性があれば最終的に性別は問わないという方がほとんどではないでしょうか(助産師は日本の制度では女性しかなることができませんが、外国では男性も助産師になれる国もあり、私は個人的に「絶対に女性でなければダメな理由はない」と考えています)。

 保育についても、医療と同様に必要性と専門性がありますので、行政の対応としては千葉市長の言う通りで問題ないでしょう。どうしても男性は嫌だという保護者がいれば、女性保育士しかいない保育園を選べばよい話で、保育園不足で選ぶほどの余裕がなければその希望は引っ込めるしかないのも医療と同じだと思います。

徐々になくなれ 性差の固定観念

 産婦人科医療に関していいますと、医療従事者が必ずしも異性愛者ではありませんし(レズビアンの女性医師だっています)、そもそも患者さん一人一人を性的対象として見ている医療従事者などいないと思います。医師にしても保育士にしても、中には性犯罪を起こす人が まれ にいるかもしれませんが、それは異性間で起こるとは限らず、厳密にいうと保育も医療も受けられなくなってしまいます。

 もう2010年代も終わりに差しかかってきたのですから、「性犯罪は男性が女性に対して起こすもの」であるとか、「この世には異性愛者しかいない」とか、「性別は男と女しかない」という固定観念で社会や制度について語るのは古いということを前提に議論してほしいと思います。

 今回は男性保育士が活躍するにあたって処遇に差別がないかということが議論の発端だったようですが、産婦人科医の活躍や処遇にも性差があり(男女ともに利点と欠点があります)、クライアントの希望で活躍に性差が出ている職種は他にもあるでしょう。完全に平等がいいというわけではないでしょうが、性差についての画一的な見方は徐々になくなっていくと良いなと思います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、性科学者。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)について、詳しくはこちら

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30件 のコメント

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役割分担

男女2児を保育園に預けています。 うちの保育園には男性保育士はいません。 資格取得のハードルの低さなども思い至りますが要は密室か長時間接触かどう...

男女2児を保育園に預けています。
うちの保育園には男性保育士はいません。

資格取得のハードルの低さなども思い至りますが要は密室か長時間接触かどうかでは?
産科診察など男性医師はなんとなく嫌ですが一瞬で終わりますし看護師さんもいます。それと一日中一緒にいる保育士を比較するのはおかしいと思いました。

比較するなら教師かな。
男性教師と男性保育士を比較すると乳児では違和感を感じるが幼児ではそんなに感じないです。着替えが自立するということや活発な遊びにも対応できるなどメリットも多いからでもあります。
乳児は家庭では母親が見ている場合が多く周囲も女性が多いため赤ちゃんの多くは慣れない男性にはギャン泣きの傾向があります。
要は男女差別ではなく、性差は必ずあるので役割分担をすればいいのではないでしょうか?

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保育士の職能

にんじん

医師なら問題ないのに、保育士に限ってこういう議論が起こるのは、結局のところ、保育士の職能を保育園を利用する親たちが評価していないという事に他なら...

医師なら問題ないのに、保育士に限ってこういう議論が起こるのは、結局のところ、保育士の職能を保育園を利用する親たちが評価していないという事に他ならない。
医師になるのは難関でなおかつお金もかかりますが、保育士は誰でもなれる。しかも、やってる事は家庭で母親たちがしていることと変りがない。だから、男性保育士に我が子の着替えをさせるのは嫌。
つまりはそういうことですよね。
確率の話も、性被害にあった子は100%だし、そうでない子は0%で意味がありません。リスクを0にするなら、保育園には預けずに親自身の手で保育するという選択肢以外はあり得ません。
園外のお散歩など、セキュリティの面からも男性保育士の方が適していると思いました。

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確かに男性性被害者も居ます

keith

いつも興味深く拝見させて頂いております。 自分自身は男性で、男性からの性被害(強姦・強制わいせつ)を受けた経験があります。 友人(男性)のひとり...

いつも興味深く拝見させて頂いております。
自分自身は男性で、男性からの性被害(強姦・強制わいせつ)を受けた経験があります。
友人(男性)のひとりは、女性から性被害(痴漢)を受けたことがあると、私に告白したことがありました。
職場のある後輩(女性)は、男性からの強姦被害を受けたことがあると告白したことがありました。
皆さんどなたでも、色々な性的嗜好性をお持ちだと思います。
全く健全そのものな性的嗜好性しか、一生持たずに終える人間なんて、殆ど居ないんじゃないでしょうか?
一番大事なのは、お互いの性的嗜好性を理解しあった上で、誤解や犯罪を犯す危険がないように、フェイル・セーフとしての組織作りや仕組みを作る事こそが大事なんじゃないかと思います。
お互いを疑い、疑心暗鬼になって攻撃的になり責め合っても、何も発展的な議論にはならないんじゃないでしょうか。

一日も早く、私のようなトラウマを抱える人間が居なくなることを祈ります。

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