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臓器ネット、心移植患者の選定ミス3件…検索システム不具合で

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臓器ネット、心移植患者の選定ミス3件…検索システム不具合で

 日本臓器移植ネットワーク(門田守人理事長)は27日記者会見を開き、脳死心臓移植の患者選定にミスがあり、昨年10月以降、3件で本来対象ではない優先順位が下位の患者に移植されたと公表した。

 患者の検索システムの不具合が原因という。同ネットは「社会の信頼を損なう事態で深くおわびする」と謝罪した。同ネットを巡っては、患者選定のミスやトラブルが相次いでおり、批判の声が高まっている。

 心臓移植の優先順位は、重症度や待機日数など、国の専門家委員会が定めた基準に沿って決められる。

 同ネットの会見によると、昨年10月に導入した患者検索システムの設定に不具合が発覚。重症で移植の優先度が高い患者について、病状の変化などで情報を修正した場合、待機日数が余分に加算される誤った設定になっていた。

 新システム導入後に行われた脳死臓器のあっせんは21件で、うち心臓移植は17件で実施された。このうち3件で順位の逆転が起き、約3年移植を待っている患者2人が機会を逃して現在も待機中。この2人のうち1人は2度にわたりミスで移植を受けられなかった。

 問題の発覚は、今月26日、東北大学病院に入院していた40歳代女性からの臓器提供がきっかけ。同ネットが心臓移植の待機患者リストに基づき、最上位の患者を受け持つ大阪大学病院にあっせんした際、「この患者は最上位ではない」と病院側から指摘された。

 そのため、あっせんを一時中断。実際には第2位となっていた患者が最上位で、偶然、この患者も同病院が担当だったため順位の逆転が分かった。その後、手作業で正しいリストを作り直し、このケースは本来移植すべき患者に心臓が提供された。

 厚生労働省は、同ネットの報告を受け、臓器移植法に基づき、第三者の専門家による検証チームを設置することなどを指示した。

 同ネットによると、設定は昨秋の新システム導入時点で誤っており、システム会社に原因究明を要請したという。心臓以外の臓器選定には影響ないとみられるが、引き続き調べている。

 門田理事長は「防ぐことができなかったか検証したい。関係者には今後、個別に謝罪する」と頭を下げた。

          ◇

【日本臓器移植ネットワーク】  臓器移植法に基づき厚生労働相からの許可を受け、脳死や心停止になった人から提供された臓器を、移植希望患者にあっせんする国内唯一の機関。臓器提供者の家族への説明などを担う移植コーディネーターや医師らで構成する。

          ◇

腎臓、肝臓でも…患者ら憤り

 臓器のあっせんを巡って日本臓器移植ネットワークはミスを重ね、業務の見直しを繰り返してきた。

 2014年11月に腎臓と 膵臓すいぞう の同時移植で患者の意思確認を怠り、厚生労働省から再発防止の指導を受けた。しかし、わずか4か月後の15年3月に患者を選定するコンピューターのデータ入力を誤り、理事長以下役員を刷新し出直しを迫られる事態になった。

 同年12月に国に業務改善報告を提出。それに基づき導入したシステムが今回の間違いの原因となった。

 移植を受けた人らで作るNPO法人「日本移植者協議会」の下野浩理事長は「患者選定は、提供者や家族の意思を生かすうえで最も肝心な部分。ミスを繰り返したことに憤りを感じる」と厳しく批判した。

 また江川裕人・日本移植学会理事長は「原因を徹底的に解明すべきだ。患者の不利益になることが起こらないよう 真摯しんし な対応が必要」と話している。

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