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コラム

インフル流行警報……今知っておきたいこと

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インフル流行警報……今知っておきたいこと

 1月26日、東京都からインフルエンザの「流行警報」が出されました。学級閉鎖の報告も急増し、会社・病院・施設などでの集団感染も各地で発生しています。今知っておきたいインフルエンザの情報をまとめました。まだ感染していない人だけでなく、すでに感染したあなたも、ぜひお読みください。

いよいよ流行警報のレベルに

 本年度のインフルエンザは、例年より早めの流行入りとなっていました。しかし、年明けの立ち上がりが予想よりも緩徐であったため、例年並みの時期の流行ピークへ向かっています。そんな状況の中、いよいよ東京都からも「流行警報」が出されました。その他にも、すでに流行警報レベルになっている地域があり、今後は一気に全国的な警報レベルとなっていきます。

 『 都内のインフルエンザ 「流行警報」

今、流行しているウイルスは?

 冬に全国で流行するインフルエンザには、「A型」と「B型」の2つの型があります。「A型」のインフルエンザでは、かつては「AH3(A香港型)」と「AH1(Aソ連型)」の2種類が大きな流行を繰り返していました。しかし、2009年に新型インフルエンザとして世界で大流行した「AH1pdm09」が、新たな季節性のインフルエンザとして加わり、「AH1(Aソ連型)」の大きな流行がみられなくなっています。そして近年は、「AH3(A香港型)」と「AH1pdm09」が交代に流行しており、今は「AH3(A香港型)」が流行の中心となっています。

2回感染する可能性もあり

 「B型」のインフルエンザは、「山形系統」と「ビクトリア系統」の2種類に分けられています。今のところ「B型」の報告はごくわずかです。しかし「B型」は、A型が減少してくるころから、春先にかけて増えることがよくあります。すでにインフルエンザにかかった人も、もう感染しないと安心してはいけません。別な型のインフルエンザに再び感染することもあるからです。

インフルエンザの症状は?

 インフルエンザに感染してから発症するまでの潜伏期間は1~3日です。したがって、発症した人と接触したことがわかったら、数日間は症状に注意する必要があります。インフルエンザは突然の高熱で発症することが多く、頭痛、筋肉痛、関節痛も、よくみられる症状です。また、鼻水、喉の痛み、 せき などを伴うこともあります。多くの人は自然に軽快するのですが、小児や高齢者では脳症や肺炎を合併して重症化することがあります。

インフルエンザの検査を過信しない

 インフルエンザの検査では、長い綿棒のようなもので鼻腔(鼻の奥の方)をぬぐい、それを短時間で判定する迅速検査が一般的です。発症直後は、検査しても陽性とならないことが多いので注意が必要です。また、最も検出される時期でも100%診断できるわけではありません。つまり、検査して陰性だからといって、インフルエンザではないと完全に否定されたわけではないのです。インフルエンザの検査は、絶対的なものではありません。検査で陰性であっても、症状から強く疑われる場合には、インフルエンザと考えて対応しておくことがすすめられます。

抗インフルエンザ薬の効果は?

 インフルエンザは、軽症ならば解熱剤などの対症療法のみでも、自然に良くなることが多い感染症です。インフルエンザと診断されたら、必ず抗インフルエンザ薬を投与しなければならない、というわけではありません。

 現在一般的に使われている抗インフルエンザ薬には、内服薬(タミフル)、吸入薬(リレンザ・イナビル)、そして点滴薬(ラピアクタ)があります。そして、一般的には発症48時間以内の治療開始がすすめられています。

 「薬を飲んだのに、熱がすぐに下がらない。」と心配される方もいますが、飲んだら熱がすぐに下がるというほどの特効薬ではありません。抗インフルエンザ薬は、症状を軽くして発熱期間を短くするという効果、そして少しでも重症化を防ぐことを期待して投与されます。

ワクチン打っても安心しないで

 インフルエンザのワクチンは、「かからないワクチン」ではなく、重症化を防ぐのが目的のワクチンです。重症のインフルエンザは、治療が間に合わないようなスピードで増悪して、重症の脳症や肺炎を起こすことがあります。したがって、特に基礎疾患のある人、子どもや高齢者など、重症化のリスクが高い人ほど接種が強くすすめられているのです。ワクチンを打っていても、発症することはあります。ワクチンを過信せずに、手洗いなどの日常的な予防を続けることが大切です。

発症したら、どれくらい休むの?

 子どもの場合には、インフルエンザ後の出席停止期間が「発症したあと5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで (注:保育所は解熱後3日) 」と、学校保健安全法によって定められています。しかし、大人については、このような規定はありません。したがって、子どもの基準を参考にして、就労停止の期間を説明されているというのが現実です。会社から、感染しないことを証明してもらうようにと言われて、困って相談に来る方もいますが、病院や診療所で感染しないかどうかを検査で証明することはありません。

手洗いも大切です

 インフルエンザは、乾燥に強いウイルスです。今のように流行が拡大している時期になると、いろいろな環境も、感染した人の手を介して汚染されています。そして、くしゃみや咳だけでなく、汚染された場所に触れた手を口や鼻にもってくることでも感染してしまいます。したがって、特に人の多いところでは、しっかりと手洗いをすることも大切です。

感染を広げないために

 インフルエンザは、かかった本人が気をつけることで、感染が広がるのを防ぐことができます。もしも、インフルエンザを発症した人と接触したことがわかったら、数日間は発症する可能性を考えて行動してください。マスクは、発症した人がつける方が、予防効果も高くなります。

 インフルエンザが疑われる症状があるときには、無理して職場や学校に行かないようにしてください。そして、職場や学校の現場でも、調子が悪い人が休みやすい環境づくりをしておくことが重要です。

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知って安心!今村先生の感染症塾_201511_120px

今村顕史(いまむら・あきふみ)

がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

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2件 のコメント

予防接種したのに

めざめたじいさん

先週火曜日の晩、咳が出て、寒気がしました。水曜日に内科受診、漢方薬を2種類、様子を見てくださいと言われました。木曜日に8.3度の熱、休診日だった...

先週火曜日の晩、咳が出て、寒気がしました。水曜日に内科受診、漢方薬を2種類、様子を見てくださいと言われました。木曜日に8.3度の熱、休診日だったのでじっと我慢していました。金曜日に同じ内科医へ、「インフルエンザですよ」と調べる前に診断を下す。鼻の粘膜をとり検査、1分もたたないうちに青色に。タミフルや咳止め、解熱剤を頂き帰宅。この冬始めてワクチンを打ったのですが、何のために打ったのだろう。

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インフルエンザ流行っていますよね。

アリス

子供を保育園に通わせているのですが、インフルエンザ流行っています。 それなのに、わざわざ人をあつめてお遊戯会を行っています。時期を変えるか延期に...

子供を保育園に通わせているのですが、インフルエンザ流行っています。
それなのに、わざわざ人をあつめてお遊戯会を行っています。時期を変えるか延期にするかしてもらいたいです。

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