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[樹木で潤う](3)森林散策、血圧や免疫に効果

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 森林セラピーは、リラックス以外にも、健康への効果がある。

 千葉大学の宮崎良文教授(自然セラピー学)は、森林を散策することで、血圧にどのような変化が表れるかを調べた。

[樹木で潤う](3)森林散策、血圧や免疫に効果

 都市部と森林で15分の散策後を比べると、高血圧の人では森林の方がより低くなることを確かめた。低血圧の人は、森林散策で上昇し、正常値に近づくことも分かった。

 宮崎さんは「血圧は、高い人も低い人もより正常値に近づいていた。森林セラピーが体の働きを良い方向に調整している」と話す。

 免疫力がアップするという研究報告もある。免疫細胞の一つ、ナチュラルキラー(NK)細胞は、がん細胞などを攻撃することで知られるが、数時間の森林散策の翌朝に血液中のNK細胞数を調べると、散策前に比べて約3割増えていた。この効果は散策の1週間後も持続するという。

 森林セラピーの効果を、手軽に得られる方法もある。香りによる木材セラピーだ。

 宮崎さんは、ヒノキを製材後45か月間、自然乾燥させたチップを袋に入れて、においを90秒間かいでもらい、脳の働きを見た。脳の前頭前野の活動も沈静化し、リラックス効果があることが認められた。香りにはフィトンチッドと呼ばれる成分の「α―ピネン」と「リモネン」が含まれ、前頭前野の沈静化をもたらすことを確認した。

 宮崎さんは「木材は自然乾燥がお薦めで、香りは、ほのかに香る程度が心地よい。強いとダメ。好き嫌いに個人差もあるので、好きな木の香りを選ぶとよい」とアドバイスする。(山田聡)

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