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短命県から学ぶ健康

からだコラム

[短命県から学ぶ健康]存在感や役割、大切に

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 健康長寿には、生活習慣や健康診断・病院の受診率、教育、文化、経済、気候などが関係します。しかし、もっと大切なものは人間の存在感だと思います。

 青森県の短命対策では、中年層(40~60歳代)の死亡率を低下させることが重要です。しかし、中年層だけをピンポイントで元気にすることができるでしょうか?

 この世代が元気だということは、お年寄りも、若者も、皆元気だということだと思います。

 長野県の高齢者の就業率は全国一です。一番長生きする県に一番元気なお年寄りがいる。この事実に驚きました。それまで「長野みたいに長生きしても、寝たきりになって、若い人に迷惑をかけるだけ」と、周囲から言われ、へこまされ続けてきたからです。

 そこでハタと考えました。「長野県のお年寄りは元気だから仕事をしているのだろうか。あるいは、仕事しているから元気なんだろうか」。本質的な疑問です。

 残念ながら高齢者というのは、年齢とともに存在価値、社会での役割が急速に低下していく傾向にあります。耳が遠くなる。話が聞き取りづらい。昔の話がやたら多い。そして稼ぎが少なくなる。病気がちで体も動かなくなる。こうなると子供も孫も敬遠しがちになります。孫にお年玉をやれなくなったらなおさらです。社会的役割が小さくなると、しゃべる機会が減り、必然的に考えることが減ります。目的が少なくなれば、でかける回数(歩行数)も減ります。認知症や生活習慣病に近づくのは当たり前です。

 お年寄りにいかに存在感や役割、居場所を持っていただくかが、健康長寿のカギです。お年寄りに限らず、中年や若者も存在感が認められる世の中こそ、本当の健康長寿社会だと思います。

 (中路重之・弘前大学教授)

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