俳優 杉良太郎さん
一病息災
[俳優 杉良太郎さん]大動脈弁狭窄症(3)手術日、未明までドラマ収録
2015年8月、緊急入院をした。心臓と大動脈の間にある「大動脈弁」が硬く、狭くなり、心不全から肺炎を起こした。
集中治療で危機を脱した頃、テレビ局から病院に、ドラマ「下町ロケット」の出演依頼の電話があった。
下町の小さな町工場が作る精密部品が認められ、初の国産ロケットに搭載されるまでの曲折を描いたドラマで、依頼されたのは国産ロケットの開発を指示する帝国重工の社長役。ドラマの重要な局面で決定を下す役だった。
死のふちから帰還し、心不全の原因である心臓の弁を取り換える手術を12月に受けると決めたばかり。何度か辞退したが、「他の人は考えられない」という。せりふを少なくすることを条件に引き受けた。
最終回の撮影は、12月の手術の前日までずれ込んだ。
ドラマの前半はロケットの話だったが、後半は医療機器開発で心臓の人工弁の話に移っていた。翌日に命をかけた心臓弁の置換手術を控え、最終回で弁の議論を
大会議室の中央で威厳をたたえて座っている役だったが、体調は限界にきていた。他の役者のせりふは長く、何度も撮り直した。結局、終わったのは翌日の午前1時半。白髪のメーキャップのまま、病院に駆け込んだ。
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俳優
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