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「星空」見上げてリラックス…病院内でプラネタリウム

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患者、家族の心を癒やす

 「病院で星空を見よう」と、院内でのプラネタリウム上映が好評だ。患者だけでなく家族にも、リラックス効果がストレス解消につながる。自分と向き合って宇宙や人生などを考える機会になるなど、楽しみ方は様々だ。

「星空」見上げてリラックス…病院内でプラネタリウム

病院の一室で行われたプラネタリウムの上映会(福岡市東区の九州大学病院で)=中嶋基樹撮影

 昨夏、九州大学病院(福岡市東区)の小児医療センターで開かれた上映会。子どもの患者の遊び場となっているプレイルーム(約73平方メートル)は、窓とドアに黒い紙が貼られ、即席の暗室に早変わり。部屋の明かりを消して、天井に100万個の星が浮かび上がると、子どもの患者や家族など約20人から「うわぁ」と小さな声が漏れた。

 「今日の午後9時に夜空にある星です。これが本当の宇宙の姿ですが、実際には、こんなにたくさんの星は見られません。大気汚染や街の明かり、人間の視力が理由です」。解説するのは、投影星数が最も多いプラネタリウムを製作した大平貴之さん(46)だ。

 この日は、子どもの患者向けに、織り姫と彦星の七夕の話から、宇宙には無数の星があり、地球がその中の一つで、宇宙には地球に似た星があるかもしれないといった話まで解説し、約20分の上映時間はあっという間に過ぎた。

 半年以上も入院していた籾井 天莉あめり ちゃん(7)は「たくさんの星はとてもきれいだった。本当の夜空の下にいるみたいで、どきどきした」と話した。

 上映会を企画したのは九大医学部3年生の奥田一貴さん(22)。病院での空間演出によるストレス軽減に取り組んでおり、「閉塞感のある病棟で、無限に広がる夜空を」とプラネタリウムを思いついた。大平さんらはボランティア参加で、開催費用は機器のリース料程度だという。

 大平さんの協力を得て、聖路加国際病院(東京都中央区)、筑波大学病院(茨城県つくば市)で上映会をしてきた。聖路加病院では、星空解説に幻想的なピアノの生演奏も加わり、患者たちを楽しませた。

 筑波大学病院の上映会で参加者の感想を聞いたところ、患者からは「病気の悩みが半減した」「痛みや不安を忘れるひとときになった」という声が相次いだ。高齢の患者では「無限の宇宙に思いをはせて、心が穏やかになった」「夜空の下に一人いるような感じ。静かに人生について考え、有意義な時間になった」といった感想もあった。

 患者の家族からは「看病で疲れて気がめいっていたが、癒やされた」という声のほか、医療関係者から「患者さんに癒やしや感動を与える。また開催を」という声も寄せられた。

 入院患者は具合が悪くて外出もできず、様々な不安や心配を抱えている。ストレスなどを研究している藤田保健衛生大学の伊藤康宏教授(生理学)は「家庭用のプラネタリウムでも、心拍数の低下や副交感神経が活発になるなど、リラックス効果がある」と指摘する。

 奥田さんは今年4月以降、東京都内や九州に加えて、関西や東北の病院でも上映を計画し、活動を広げていくことにしている。

          ◇

 【メモ】 大平さんは1970年、川崎市生まれ。プラネタリウム・クリエイター。日大大学院理工学研究科修了。2004年、日本科学未来館と共同開発した560万個の星を投影できる「メガスターII―コスモス」が、ギネス記録に認定された。(山田聡)

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