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血友病に肝臓再生医療、細胞シートを皮下に移植…長崎大が研究

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血友病に肝臓再生医療、細胞シートを皮下に移植…長崎大が研究

 出血すると血が固まりにくい血友病の治療に、再生医療でつくった肝臓組織を移植する研究を長崎大の江口晋教授(移植・消化器外科)の研究グループが進めている。

 血を固める物質(血液凝固因子)は肝臓でつくられることから、移植した肝臓組織から凝固因子が分泌されることで、薬による治療が不要になる可能性がある。動物実験を重ね、10年以内に治験に入りたいとしている。

 血友病の患者は肝臓で一部の血液凝固因子がつくられず、定期的に注射して補う治療が必要だ。肝臓の病気で移植を受けた患者は、血友病も改善することが知られているが、血友病の治療目的で肝臓移植を行うことは体の負担などから現実的には難しい。

 研究グループの堺裕輔助教が発案したのは、細胞同士をつないで成長を促す線維芽細胞の上で肝臓細胞を培養しシート状にする方法だ。肝臓細胞だけを移植しても定着しにくいのに対し、シート状にして皮下に移植することで、周囲の組織から血管が伸びて定着しやすくした。

 人の肝臓細胞で作ったシートをマウスの皮下に移植した実験では、1週間で血管が伸び、血液凝固因子が分泌されるようになったという。人の肝臓は約1キロ・グラム以上あるが、血友病の治療のためであれば、10~15グラムの「第2の肝臓」を移植で生み出せば、症状を抑えられるとしている。

 皮下への移植であるため、手術の安全性が高い特長もある。また、血友病以外にも、病気やけがで肝臓の機能を失った人の治療にも活用が見込める。肝機能を失った別の動物実験では、シートを移植しない場合の60日後の生存率は22%だったが、移植すると57%が生存した。

 血液製剤は高価なため、この治療法が実用化されれば、医療費の抑制にもつながるという。研究室では2年かけてシートの肝臓細胞を増殖させる方法を確立した後、大型動物の豚への移植に5年間取り組み、10年以内の治験につなげたい考えだ。江口教授は「人の細胞で実現できており、実用化の可能性は高いと考えている。血友病の根本的な治療につなげたい」としている。(坂田元司)

          ◇

【血友病】  血液を固める因子の異常や欠損で、血が固まりにくくなる病気。健康な人なら自然に止まる出血が大きな血腫となり、打撲のアザが大きく腫れ上がったり、関節に血がたまって激しい痛みが起きたりする。頭蓋内の出血は命の危険がある。国内の患者数は約6000人。

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