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乳がん検診 見直し運動…「マンモだけ」では救えない

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早期発見へ知識深めよう

 女性の8人に1人がなるとされる乳がん。女性のがんでは発症者数が最多である一方で、早期発見・治療により多くの人が克服できる病でもある。その鍵となるのが乳がん検診だが、昨年、乳がん体験者らが検診制度の見直しを求める運動が起こった。背景にどんな思いがあったのか。

乳がん検診 見直し運動…「マンモだけ」では救えない

「正しい知識を持って、検診を受けてほしい」と話す増田さん=安斎晃撮影

 昨年10月、厚生労働省で行われた記者会見。10年前に乳がんの手術を受けた医療ジャーナリスト、増田美加さん(54)らが、国や医療関係者に訴えかけた。

 「早期で見つかるのと進行して見つかるのとでは、治療の大変さや負担が全く違う。発見が遅れることがないよう、検診のあり方を改めて考えてほしい」

 自治体などが行う検診法の「マンモグラフィー」。だが、日本女性の半数以上は、乳腺の密度が高い「高濃度乳房」で、この検査だけではがんを見落とす恐れがあるという。しかも、見つけにくいタイプと判明した人にも事実はほとんど通知されず、「異常なし」とだけ結果票が返ってくる。

 折しも、フリーアナウンサーの小林麻央さんら著名人の乳がん告白が相次ぎ、関心が高まっていた時期。会見は、現状への率直な疑問を投げかける形となった。「高濃度乳房って何?」「マンモだけじゃダメなの?」。投じられた一石は、今でもインターネットなどで話題になっている。

 多くの人は自分の身を守るため、がん検診を定期的に受けている。結果が「異常なし」で返ってくると、誰もが「がんはなかった」と安心するだろう。

 検診受診を啓発する「ピンクリボン運動」や、医療分野の取材に携わってきた増田さん。知識を深めるうち、「ちゃんと検診してきたのに進行した乳がんが見つかった」と悲しむ女性たちがいることに気づいた。

 「マンモでは異常が見えにくい乳房があるって知ってる?」。周囲の女性や患者らに尋ねたが、一様に「聞いたことがない」との反応だった。一方で、乳腺専門医らに聞くと、多くの医師はこの課題を認識していること、超音波という別の検査を加えれば補えることも分かってきた。

 2012年、専門医らとともにNPO法人「乳がん画像診断ネットワーク」を設立。先駆的に活動する米国の乳がん患者、ナンシー・カペロさんとも連携する。「発見が遅れたことを悔やみながら逝った仲間がたくさんいます」。カペロさんから打ち明けられ、「今の検診法は絶対ではないことを、声を上げて社会に伝えなければ」と痛感した。

 活動には、全国の患者有志が賛同する。共有するのは「乳がんで悲しむ人を減らしたい」という願いだ。そのためにも、増田さんは女性たちに「お任せ、受け身にならず、知識を得る努力をして検診や治療を受けてほしい」と望む。この心得が、早期発見や適切な医療で自分の身を守ることにもつながるからだ。

 国や医療関係者には、受診者目線に立った制度づくりを求める。「どんな状況でもがん告知はつらい。もし制度の不備で発見が遅れたと知れば、ショックや後悔、医療不信が増す。みなさんの知恵を結集し、早急に改善してほしい」

  ■メモ  増田さんは1962年、東京生まれ。出版社勤務を経て、フリージャーナリスト。女性の健康や医療などを取材している。著書に「医者に手抜きされて死なないための患者力」がある。乳房の健康を応援する「マンマチアー委員会」を主宰し、毎月、都内でセミナーを開いている。(佐々木栄)

→医療大全「乳がん」
https://yomidr.yomiuri.co.jp/iryo-taizen/archive-taizen/OYTED551/

→病院の実力「乳がん」
https://yomidr.yomiuri.co.jp/byoin-no-jitsuryoku/archive-jitsuryoku/?has-enquete=has-enquete&disease=OYTED551

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