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一病息災

闘病記

[俳優 杉良太郎さん]大動脈弁狭窄症(1)奈落の底に落ちた感覚

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 「遠山の金さん」「新五捕物帳」などテレビ時代劇で主演を務めた。海外でも時代劇への関心が高まり、世界各国で慈善公演を重ねた。

 

[俳優 杉良太郎さん]大動脈弁狭窄症(1)奈落の底に落ちた感覚

 ベトナムとの縁は、1989年。共産党政権下で西側諸国の芸能人として初めて親善公演をした。謙虚で律義。日本文化に通じるものがあると感じた。以来、日本語学校の建設や、里親として孤児の学費や生活費の支援を続けてきた。対象の孤児は今年中に175人に達する見込みだ。2年前からは、経済力をつけたベトナムの人たちのために、日本の名所や文化を紹介する番組を、現地の国営放送で放映している。

 異変は2015年8月、この番組の収録で訪れた和歌山で起きた。世界遺産の熊野古道や、ベトナムで人気になりつつある桃の果樹園を紹介する内容。そこで昼間からしゃべれなくなった。口を開くことができない。

 同行した妻の伍代夏子さんに代演を頼み、南紀白浜のホテルへ移動した。熱はうなぎ登りに高くなり、ホテルで夕食が出た時に、崩れるように倒れた。「氷、氷……」。あらゆる冷たいものをかき集めて、頭に載せても冷たく感じない。「奈落の底に落ちたみたいな感覚でした。人生で初めて、これはもうダメだと思いました」。心臓と大動脈の間にある大動脈弁の 狭窄きょうさく が急変の原因だった。

 

  俳優  (すぎ)   良太郎(りょうたろう) さん(72)

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