産婦人科医 宋美玄さん
一病息災
[産婦人科医 宋美玄さん]妊娠糖尿病(5)食の楽しみ持ち続ける
第2子の長男妊娠時は、血糖コントロールはうまくいかなかったが、3038グラムの超安産。ただ第1子の時とは違い、産後の検査で、放置していると糖尿病になる可能性が高い「境界型」になり、4か月ごとに通院することになった。
「ショックでしたね。健康に多少問題がある自分を受け入れるのは難しい。でも、子供たちのために健康で長生きできるように、ちゃんと通院し、生活に気を付けながら、食の楽しみも持ち続ける。そんな、バランスを考えた生活を続ける覚悟が生まれました」
医療者には、まず妊娠糖尿病を発見して、正しい指導をしてほしいと願う。「『あなたの食生活のせい』と間違ったことを伝えたり、人生が楽しくなくなるような無理な生活指導をしたりしないで。指導で患者さんの毎日がどうなるかを想像すべきだと思います」
妊娠糖尿病を心配する妊婦には「面倒だけれど、怖い病気ではない」と伝えたい。「この病気になっても終わりじゃない。生活を一変させる必要はないと安心させることが大事だと思い知りました。病気になると自分を責める人が多いですが、運が悪いだけと強調するようにもなりました」
病気の体験は、産婦人科医としての自身の診療に役立っていると感じている。
(文・岩永直子、写真・池谷美帆)
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産婦人科医