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ノロウイルス「変異型」猛威…強い感染力、免疫あっても危険

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ノロウイルス「変異型」猛威…強い感染力、免疫あっても危険

ノロウイルス(国立感染症研究所提供)

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 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が猛威を振るっている。国立感染症研究所が27日公表した全国の1医療機関当たりの患者数は、「警報レベル」の20人を超え、現在の集計法になった1999年以降では2006年に次ぐ大流行になった。遺伝子が変化したタイプ(変異型)の広がりが一因とみられ、国は感染防止対策の徹底を呼びかけている。

 

21都府県で警報レベル超え

 「10年前の大流行時にも変異型のウイルスが広がった」。感染研感染症疫学センターの木村博一・第6室長はそう話し、今シーズンの状況は同じだと説明する。

 感染研によると、今シーズンに入って茨城、神奈川両県で変異型のノロウイルスが見つかった。変異型には、毎年患者の多い乳幼児や高齢者だけでなく、過去に感染して免疫を持っている大人も感染しやすくなっている危険性がある。

 全国の小児科約3000か所を対象にした感染研の定点調査によると、直近の1週間(12月12~18日)では、21都府県で警報レベルを超えた。山形の47・27人が最多で、次いで宮城34・08人、埼玉31・66人など。全国では20・89人に達し、過去最高だった06年12月の22・81人に迫る勢いとなっている。

 厚生労働省は今月21日、全国の自治体に改めて予防対策を促す通知を出した。

 

食中毒の4割

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 ノロウイルスによる集団食中毒も各地で起きている。

 東京・銀座の高級レストラン「ブルガリ東京レストラン銀座 イル・リストランテ」では、今月11日のパーティーで食事をした49人が下痢や 嘔吐おうと などの症状を訴えた。東京都は、ノロウイルスが検出された調理人4人から感染が広がった可能性が高いと判断。同社によると、4人は調理時には自覚症状はなかったという。

 厚労省によると、昨年発生した食中毒約1200件のうち、ノロウイルスが原因だったのは40%に上り、患者数で見ると、全体の65%を占めている。要因別では、調理人から感染したケースが全体の65%を占め、このうち39%は発症していない人からの感染だった。

 一方、高齢者施設や保育所などでも集団感染が広がっている。要因の一つとみられるのが、ノロウイルスを含んだ便のおむつ交換の際の感染だ。東京都健康安全研究センターの林 志直ゆきなお ・疫学情報担当は「下痢の場合は直接、手で触れなくても、紙を浸透してウイルスが付着する恐れがある。施設でのおむつ交換は手袋の着用が必須だ」と指摘する。

 

カキにも影響

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ノロウイルスは検出されず、出荷に向けて洗浄される生食用のカキ(今月26日、宮城県女川町尾浦で)

 ノロウイルスの猛威は、海のカキにも及んでいる。

 宮城県では今月19日、カキからノロウイルスが検出されたため、1997年の検査開始以来初めて、11海域すべてでカキの出荷を休止した。26日の検査の結果、再度ウイルスが検出された5海域では加熱用だけ出荷を再開し、生食用は停止を継続することになった。

 「カキのノロウイルスは、人から排出されたものが原因」と指摘するのは佐野大輔・北海道大准教授(衛生環境工学)だ。人の便などに含まれたノロウイルスは、下水処理施設では完全に除去できず、川から海に流出し、カキに蓄積されるという。県内では今シーズン、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が大流行しており、その影響が最盛期のカキの生産現場を直撃した形だ。

 県漁業協同組合は「カキは十分加熱すれば安心して食べられることを知ってほしい」と説明する。厚労省によると、カキに含まれるノロウイルスは中心部を85~90度で90秒以上、加熱すれば不活性化されるという。

 

潜伏1~2日…手洗い、使い捨て紙タオルで予防

 

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 ノロウイルスは感染力が非常に強く、口から感染して腸で増殖、下痢や 嘔吐おうと を引き起こす。潜伏期間は1~2日で、健康な成人は数日で回復するが、乳幼児や高齢者では重症化することもある。

 治療薬はなく、発症したときは脱水に注意して安静を心がける。

 変異型が流行しても、対策は変わらない。北里大学の片山和彦教授(ウイルス感染制御学)は「食べ物に触れる前の手洗いと、共用のタオルを使わず使い捨てのペーパータオルを使うこと。これを徹底するとかなり感染を防げる」と強調する。

 感染経路も様々だ。患者の便や嘔吐物に大量に含まれるウイルスが手について広がったり、水洗トイレで流す時にしぶきとともに飛び散ったりしてうつる。ドアノブやカーペットに触れて感染することもある。

 患者の便や嘔吐物を処理する時は、使い捨ての手袋やマスク、エプロンを着用し、ウイルスが飛び散らないように静かに拭き取る。汚れた衣類やシーツを消毒するには、次亜塩素酸ナトリウムが有効で、塩素系の漂白剤で代用できる。

 乾燥すると簡単に空気中に漂うため、乾燥しないうちに処理することが大切だ。処理後は十分に換気して、ウイルスが室内に残らないように気を付ける。

 感染しても自覚症状がないケースもあるため、片山教授は「家族に感染者がいる人は、特に食品の取り扱いに注意して、食中毒を起こさないようにすることが重要だ」と注意を呼びかけている。(医療部 森井雄一、社会部 太田雅之)

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