文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

筋ジストロフィーの詩人 岩崎航の航海日誌

yomiDr.記事アーカイブ

命綱は離せない。生きるための介護を求めて

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

破綻してからでは手遅れ

熱心にメモを取って聞き取っているように見えた

熱心にメモを取って聞き取っているように見えた

 11月9日、区役所の担当職員2人が自宅を訪問しました。

 相談員、医療と介護の支援者からの聞き取りだけではなく、本人の暮らしの現場に来て生活状況を把握するための訪問です。すでに相談員からも伝えている内容ではありますが、私からもあらためて終日24時間・重度訪問介護でのヘルパー介助の必要を自分の言葉で訴えました。とくに力を込めて話したのは、同居する両親が、これ以上、私の介助は続けられないということです。

id=20161226-027-OYTEI50014,rev=2,headline=false,link=true,float=right,lineFeed=true

自分の言葉で、困っている状況を伝える

 「現在、夜間早朝の介助は両親が行っていますが、高齢と持病の悪化もあり無理が生じています。介助の必要があって呼びますが、頻回に呼んだ後は、体調が思わしくなくなります。起きて介助した後、眠られずそのまま起きている時もあり、体がもたない状態です。両親は痛みを こら えて介助していて、とくに母は耐えがたい痛みで涙をこぼしている時もあります。私も見ているだけで精神的に苦しいです。このままでは共倒れします。破綻してからでは手遅れなんです。これからも在宅生活を続けていくために、一刻も早く終日ヘルパー介助の体制を作りたい」

 職員は、夜間の介護状況、両親が介助で つら いことは何かなど、折に質問をはさみながら、私と両親が話すことを熱心に聞いているように見えました。父が介助動作のどういう時に痛みが生じるかを実際にやってみせようとするのを見て、「いやいや、結構ですから」と心配するような表情で押し とど める場面もありました。

 そして職員は、最後に「すでに本庁に上げて協議しているところですが、今日の聴き取りしたことも踏まえて、私どもとしても、適切な介護支給決定がなされるように努めます」という趣旨の言葉をかけてくれました。

単なる手続きではない重み

 介護支給のことで行われる市担当者の訪問面談は、受ける側には単なる行政の手続きに留まらない重みを持ちます。自分の生命・生活の存立、人生が懸かっているからです。

id=20161226-027-OYTEI50015,rev=2,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

親身な対応に感じられ、ほっとしていた

 生命線を確保する。生きるための介護支給を求める申請です。他県の方ですが、私と同じ筋ジストロフィーで、鼻マスクで常時人工呼吸器を使い全介助の障害者も、終日24時間の公的介護を受けて生活している事実からも、制度の趣旨に のっと った適用をするなら私のケースにも十分に認められる内容です。根拠のある話であり無理や 贅沢ぜいたく を申し立てているのではありません。実情を示すなら必ず通ると思ってはいても、一方で、もしこの困難な状況を軽く扱われ、終日24時間ヘルパー介助の必要性を分かってもらえなかったら……」と一抹の不安がぬぐい去れないのは、前任の相談支援者の消極的な対応に苦しんだ経験も尾を引いているのでしょう。それだけに身構えて職員の訪問を待ち受けていたのですが、親身な対応に感じられたこともあり、やわらかな雰囲気で面談を終えました。

 こちらが行うべき手続きは終えたので、後は区役所からの回答を待つだけです。「分かってもらえたのではないか」という感触があったので、不安より安心が少し上回るような気持ちで結果を待ちました。

 半月後、担当相談員の及川さんに回答が届き、経由して私にも伝えられました。

 その内容は、まったく想像もつかなかった 愕然がくぜん とするものでした。分厚く築かれた灰色の壁が、目の前に あらわ れた瞬間でした。

 

 旗は
 強い風が吹きつける時
 音を発します
 力強くはためきます
 今がその時

写真:冨田大介

************

 読者の皆さんに情報提供のご協力をお願いしたいと思います。

 ご自身、もしくは家族や知り合いに、公的な介護制度で終日24時間ヘルパー介助を得て生活している方はいらっしゃいませんか? 独居の方でも、家族と同居の方でもかまいません。担当編集者(岩永)のメールアドレス( e-yomidr@yomiuri.com )か、コメント欄に、実現するに至った経過を教えてください。障害の状態とお住まいの自治体名も、差し支えない範囲で記していただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

yomidr_iwasaki

岩崎 航(いわさき・わたる)

 1976年、仙台市生まれ。本名は岩崎稔。3歳ごろ、筋ジストロフィーを発症する。現在は胃瘻と人工呼吸器を使用し、仙台市内の自宅で両親と暮らす。25歳から詩作を始め、2013年、詩集『点滴ポール 生き抜くという旗印』、15年、エッセイ集『日付の大きいカレンダー』(共にナナロク社)を出版。16年、創作の日々がNHKのETV特集で全国放送され、話題を集める。公式ブログ「航のSKY NOTE」で新作を発表中。

筋ジストロフィーの詩人 岩崎航の航海日誌の一覧を見る

4件 のコメント

情報提供をありがとうございます

ヨミドクター・岩永直子

皆様   年末年始のお忙しい時にもかかわらず、全国から情報提供をありがとうございます。メールの方にも十数件の情報を頂いております。皆様の情報は、...

皆様 
 年末年始のお忙しい時にもかかわらず、全国から情報提供をありがとうございます。メールの方にも十数件の情報を頂いております。皆様の情報は、岩崎さんと共有して生かしていきますので、引き続きどうぞご支援をよろしくお願いします。

つづきを読む

違反報告

重度訪問介護について

ぴさ

知人のシェアで岩崎さんの現状を知りました。わたしは新聞記者をしています。以前、書いた記事が参考になればと思い、岩永さんあてにメールします。行政と...

知人のシェアで岩崎さんの現状を知りました。わたしは新聞記者をしています。以前、書いた記事が参考になればと思い、岩永さんあてにメールします。行政との交渉を手助けしてくれる弁護士グループがありますので、もしまだご存じでなければ、アクセスしてみてはいかがでしょうか。必要でしたら、友人がそのグループのメンバーですので連絡を仲介することもできます。

つづきを読む

違反報告

ぴさ様、ありがとうございます。

岩崎航

担当編集(岩永さん)から、記事の資料とアドバイスのメールを転送いただきました。とても参考になりました。ありがとうございます。ちょうど、そのグルー...

担当編集(岩永さん)から、記事の資料とアドバイスのメールを転送いただきました。とても参考になりました。ありがとうございます。ちょうど、そのグループの方が書かれた本も読んでいて連絡をしようと思っていたところでした。ぜひ仲介をお願いいたします。くわしくは後ほど岩永さんを通してメールいたします。よろしくお願いいたします。

つづきを読む

違反報告

情報提供ありがとうございます!

ヨミドクター・岩永直子

ぴさ様を初めとして、これまで3人の方に情報提供を頂いております。 どうもありがとうございます。全国の色々な事例を集めましたら、大きな力になると思...

ぴさ様を初めとして、これまで3人の方に情報提供を頂いております。
どうもありがとうございます。全国の色々な事例を集めましたら、大きな力になると思います。どうぞ引き続き情報提供をよろしくお願い致します。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

最新記事