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ノロウイルス怖くて「餅つき中止」広がる…素手作業多く、感染が心配

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ノロウイルス怖くて「餅つき中止」広がる…素手作業多く、感染が心配

ノロウイルス対策として手洗いや消毒の徹底を呼びかけながら行われた餅つき大会(東京都世田谷区で)

 ノロウイルスが全国的に猛威を振るう中、集団食中毒の恐れがあるとして、餅つき大会を中止する動きが広がっている。「やむを得ない」と理解を示す声がある一方で、「地域の伝統文化を守りたい」との考えから、ついた餅と違うものを提供するなど、工夫して伝統行事を続けるケースもある。

「やめた方が…」と保健所

 国立感染症研究所が20日発表した定点調査の速報によると、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数は、直近1週間(5~11日)で、1医療機関当たり19・45人。13都県で同20人を超える警報レベルに達した。近年では2006年、12年に次ぐ規模の流行という。

 千葉県木更津市の郷土博物館は、23日に開催予定だった餅つきの開催を見送った。10年からほぼ毎年行っていたが、ノロウイルス対策を理由に中止するのは初めてだ。

 地元の保健所から、「流行のピークなのでやめた方がよい」と助言されたという。同館は「昨年は子どもからお年寄りまで150人ほどが来場した。万一の時はたくさんの人が感染してしまう」と理解を求める。

 岡山市の岡山 聖園みその 幼稚園も、年末恒例の餅つきを今年は中止した。「子どもが伝統文化に触れ食育にもなっていたが、子どもの健康が第一」と説明する。川崎市の武蔵小杉駅前の商店街や愛知県豊川市の豊川市民病院も、同様に取りやめた。

 餅つきは手返しや切り分け、味付けなど、手で触れる工程が多く、手指についたノロウイルスから感染が広がりやすい。熊本県南小国町の保育園では、8日の餅つきが原因とみられる食中毒が発生し、園児や保護者など計52人が 嘔吐おうと や下痢を訴えた。

 感染しても発症しない人もいる。気付かないまま、多くの参加者が集まる場で感染を拡大させることも想定され、餅つきの開催に慎重になっている。

「つく用」と「食べる用」分けて…工夫し決行も

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 一方、感染防止策に取り組み、例年通り開催するところもある。東京都世田谷区の上町児童館では18日、餅つきが行われた。調理スタッフは全員マスクと手袋を着用し、子どもたちには消毒を徹底した。親子で参加した近くの主婦、三浦明子さん(40)は「餅つきは家庭ではできない体験。実施できて良かった」と話す。

 東京都町田市の小川自治会は昨年から、同市保健所の助言に従い、ついた餅をあんこ餅ときなこ餅に調理するのをやめた。白餅として販売し、自宅で煮たり焼いたりして食べてもらう。「ついた餅は飾り用の鏡餅にして食べないようにするか、雑煮や汁粉など火を通して提供すれば、感染リスクは減らせる」と同保健所。

 滋賀県近江八幡市で17日に行われた餅つき大会でも、つきたての餅ではなく、餅つき機で作ったものを加熱し、ぜんざいとして参加者に振る舞った。十数年前から続く行事だが、餅を「つく用」と「食べる用」に分けたのは初めてという。

 厚生労働省によると、餅つきに食品衛生法の規定はなく、主に自治体の保健所などの判断に委ねられる。そのため、各地で対応が異なっている。

 日本の食文化に詳しい、熊倉功夫・国立民族学博物館名誉教授は「餅つきには共同体を結びつけてきた側面もあり、中止すると地域がますますバラバラになる。衛生面と両立する方法を模索してほしい」と話す。

          ◇

【ノロウイルス】  冬場の感染性胃腸炎の主な原因となるウイルス。加熱が不十分な二枚貝や、感染した人の便や嘔吐物に潜む。激しい嘔吐や下痢などを1~2日間繰り返す。嘔吐物や便を処理する際などに手指に付着し、口から体内に入り感染することが多い。ワクチンや治療薬はない。加熱により死滅する。

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