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義手の普及、広がる活動…体育、図工 様々な動作が可能に

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子どもの積極性も引き出す

義手の普及、広がる活動…体育、図工 様々な動作が可能に

運動用の義手を使って跳び箱の訓練をする小山蒼ちゃん(東京都文京区の東京大学病院で)=橘薫撮影

 生まれつき手がない障害を持つ子どもたちへの義手の普及を後押しする動きが広がっている。義手によって両手を使う動作ができるだけでなく、積極性を引き出せる効果も大きいためだ。

 「すごい!」「上手になったね」。11月22日、東京大学病院のリハビリテーション科。左手に義手をつけた小山 あお ちゃん(4)(東京都文京区)が医師や作業療法士ら5人に見守られながら、鉄棒や跳び箱などに挑戦していた。

 蒼ちゃんは生まれつき左手に障害がある。母の亜希子さん(38)は「できることが増えて選択肢が広がるなら」と、今年2月から同科に通わせ始めた。自転車に乗ると、「ママ、すごく速いよ、見て見て」と目を輝かせた。10月からはウクレレ教室にも通う。亜希子さんは「小さい手だからできないと諦めてほしくなかった。前向きな性格なので、このまま成長してくれたら」と期待を込める。

 同病院では現在、20人の子どもたちが義手を使った訓練に励んでいる。

 右手に障害があり、埼玉県から通う小学1年の女児(7)は、学校の体育や図工の授業で義手を使う。「縄跳びができた時、手があって良かったと思った。次はカエル倒立をやりたい」と意気込む。母親(25)は「義手のおかげで普通に学校生活を送れ、明るい性格につながっている」と喜ぶ。

 義手には、見た目が良い「装飾用義手」、筋肉の活動による電気信号に応じて手が開閉する「 筋電きんでん 義手」、運動など特定作業をするための「作業用義手」などがある。国内では、装飾用が8~9割を占める。筋電義手や作業用義手を使えば、学校で友だちと同じように運動したり、学んだりできるが、義手への公的な支援は限られ、普及に取り組む医療関係者も少ない。

 義手を使った運動に興味がある子どもを支援する一般社団法人「ハビリスジャパン」(東京都)は8月に設立されたばかり。会費を募り、運動に適した義手を無償で貸し出す考えだ。長野洋理事長は「義手は可能性を広げる道具。子どもたちの笑顔を増やしたい」と語る。入会はホームページ( http://habilisjapan.wixsite.com/habilisjapan )から申し込める。

 子どもの義手で先駆的な取り組みを進めるのが、兵庫県立リハビリテーション中央病院(神戸市)だ。2014年6月に小児筋電義手バンクを開設。29人に筋電義手を貸し出している。筋電義手は1台約150万円と高価な外国製が主流。思い通りに動かすには訓練が必要だが、訓練用の義手購入には公的な補助が受けられないこともあって、普及率は2%以下だ。

 兵庫県明石市、小学2年重元夏君(8)は1歳時から左手に筋電義手をつけ、同病院で訓練を重ねる。母のあかねさん(41)によると、着替えなどを手伝おうとすると、「自分でできるよ」と断られることも増えたという。同病院の医師・陳隆明さんは「義手を使いこなし、自信をつける子どもは多い。国が制度面でもっと支援してほしい」と訴える。

  〈小児筋電義手バンク〉  筋電義手を寄付金で購入し、必要な子どもに無償で貸し出している。寄付金はこれまで全国から約5600万円が集まった。問い合わせは兵庫県障害福祉局障害者支援課(078・362・4379)。

 (西原和紀)

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