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知って安心!今村先生の感染症塾

医療・健康・介護のコラム

ノロが猛威…あなたを守る五か条

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 ノロウイルスが全国で猛威をふるっています。いろいろな施設からの、集団感染の報告も急増してきました。これからは、忘年会にクリスマス、年越しから初詣と、多くの人の集まるイベントが各地で行われる時期となります。今回は、あなたや身の回りの人をノロウイルスから守るために、最低限知っておきたいポイントを五か条にまとめてみました。

<その一>ノロウイルスの感染力を知るべし

 ノロウイルスは、ごくわずかなウイルスが口に入っただけで感染します。感染者の1gの便には1億個のウイルスが、 嘔吐おうと 物1gにも100万個のウイルスが含まれ、わずか10~100個のウイルスでも感染してしまうのです。また、ノロウイルスは乾燥にも強く、公衆トイレのドアノブや、階段の手すりなど、乾燥した環境の中でも、なんと数時間~数日も感染力を保つことができます。ノロウイルスの感染力を、あなどるべからず。

<その二>初期は脱水に注意すべし

 ノロウイルスによる胃腸炎は、激しい「下痢」や「嘔吐」を繰り返します。ひどい時は、たとえ頑強な若者でも、たった数日でゲッソリしてしまうほどです。発症初期の対応ポイントは、脱水を防ぐこと。特に小さなこどもや高齢者は脱水に弱いので、おう吐や下痢がはじまったら、早期に水分補給をすることが大切です。吐き気の強い時は、少量ずつ、頻回に補給しましょう。全く水分をとることができなければ、クリニックや病院の受診も検討しましょう。

<その三>食の安全は手洗いから始まると知るべし

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 食事が汚染されてしまえば、ウイルスは確実に食べた人の口に入ります。そして、多くの人の食事を調理すれば、そのまま集団感染につながってしまいます。みなさんは、調理者が手洗いをするのは、当たり前のことだと思っているでしょう。しかし、それでも各地のイベントや仕出し弁当などで、今でも集団発生が起こっているというのが現実です。ノロウイルスは、症状消失後であっても1週間以上、長いときには1か月間もの長い間、ウイルス排出が続く可能性があります。症状が良くなってからも、しっかりと手洗いをする必要があるのです。

<その四>人から人への二次感染を防ぐべし

 ノロウイルスは、食事から感染するだけではありません。現在のような流行状況になると、いろいろな場所がウイルスに汚染されているはずです。そして、その環境に触れた手を、口にもってくることでも感染してしまいます。公衆トイレを使った人が手を洗う前に触れる、洗浄レバーやドアノブなども要注意。また、人の多い施設やイベント等でも、特にしっかりと手洗いをしておきましょう。また、嘔吐物は、乾く前に処理をするのがポイントです。カーペットなどで乾燥すると、ホコリと一緒に舞ってしまい、口に入ることで感染してしまうこともあるからです。流行期の感染は人から人が中心です。一人一人が気をつけて、感染の拡大を防ぐことが必要です。

<その五>手洗いに勝る予防策なし

 ノロウイルスは、アルコールが効きにくいウイルスです。したがって、アルコール性の手指衛生剤よりも「流水と石けんによる手洗い」がおすすめです。トイレ後の手洗い、調理前の手洗い。当たり前のことだと思うでしょうが、実際にはしっかりとできていない事も多いのです。

 1回だけなら大丈夫?…しかし、感染力の強いノロウイルスは、その1回を見逃してはくれません。手洗いに勝る予防策なし。今一度ご確認を!

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知って安心!今村先生の感染症塾_201511_120px

今村顕史(いまむら・あきふみ)

がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

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1件 のコメント

各空港での手洗い

しゅう

空港や公共施設での感染予防を徹底するには、 手洗いやうがいの出きる箇所を設置するべきではないか。 海外のトイレでうがいとかする気になれないので、...

空港や公共施設での感染予防を徹底するには、
手洗いやうがいの出きる箇所を設置するべきではないか。
海外のトイレでうがいとかする気になれないので、更に感染拡大してしまう。
うがい場の設置求む。

機内では、マスクを配布するなど工夫も必要。

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