産婦人科医 宋美玄さん
一病息災
[産婦人科医 宋美玄さん]妊娠糖尿病(2)「食べ過ぎ」とからかわれ不快感
診断を受けるまで、空腹時血糖は60ミリ・グラム/デシ・リットル前後と低い方だった。体格指数(BMI)も19と、むしろ痩せ形。しかし、周囲は皆、「おいしいものばかり食べているからよ」と、本人の食生活のせいにすることにイラついた。
「糖尿病って本当にぜいたく病とされていて、話題になった『人工透析自己責任論』もそうですが、本人が自堕落なせいだと決めつけられる。私は別に太っていないのに」
妊娠中は胎盤から出るホルモンのために、血糖が下がりにくくなる。
「医学生の時の検査実習でも既に軽い血糖値の異常が出ていましたし、糖尿病の家族もいる。遺伝や体質に、高齢出産も重なって発症したことは明らかでした」
しかし、医師や助産師さえ、「食べ過ぎのせいでしょ」とからかい、血糖値を一気に上げ過ぎないように1日6回に分ける食べ方をしていると、「食べていいの?」と声をかけてきた。
「言われた側が面白くなかったら冗談ではないし、赤ちゃんのために、ある程度の栄養を取らなければならない妊婦に間違ったことを言うなんて……。医療者の言葉がストレスでした」
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産婦人科医
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