泌尿器科医・小堀善友の新オトコのコト
妊娠・育児・性の悩み
ベルギーで市販中…男が元気になる?スプレー
さて、突然ですが、問題です。先日、性機能障害を専門としているベルギー人のドクターの友達に、写真のようなスプレーをもらいました。これは、ベルギーでは一般的に市販されている商品です。この効果は何でしょうか?
1)ペニスを勃起させるための「絶倫スプレー」
2)早漏の人の射精が遅くなる「麻酔スプレー」
3)射精が何度でも可能になる「連射スプレー」
さて、正解は?
正解は、2番の早漏の人に効く「麻酔スプレー」でした。このスプレーの中には、リドカインという麻酔薬が入っており、ペニスに数回スプレーして 麻痺 させることで、早漏を改善するものなのです。
早漏…海外の高い関心
日本国内の不妊治療では、 膣 の中で射精しづらい「膣内射精障害」という重度の遅漏の人が多くいます。しかし、海外では早漏の方が大きな問題となっているのです。
米国国立医学図書館が運営する医学的文献データベース「PubMed」で射精障害(ejaculatory dysfunction)と入力して検索すると、1000本以上の研究論文がヒットしてきますが、そのうちのほとんどが「早漏」に対する研究です。
海外の研究者が、いかに早漏に興味を持っているのか(逆に、遅漏に興味を持っていないのか)ということがわかります。
このようなスプレーは、ベルギーでは普通に市販されているとのことですが、日本では医薬品医療機器等法(改正薬事法)」によって、承認を得られなければ市販できないでしょう。医療者も、一般の人も早漏に対する関心は欧米の方が高いことがわかります。
日本では購入者が少ない?
ちなみに、海外では販売されているのに、日本国内では販売されていない早漏の内服治療薬もあります。以前、アメリカの学会で、とある早漏の治療薬が大々的にプロモーションを行っていたのですが、結局、日本では発売にいたりませんでした。日本では購入する人が少ないと予想されたためだと考えられます。
このコラムでも紹介した、女性性機能障害の治療薬であるフリバンセリンも日本国内で発売される見込みはありません。(参考: オトコも気になる女性の性機能障害(1) )
場所が変われば、射精に関する関心もそれぞれです。遅漏に効果的なスプレーなんてものがあればよいのですが。それは難しいみたいです。
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ところ変われば
jacs
国や文化によって、問題が全く異なる点はとても興味深い。
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