前立腺がんでPSA上昇、どんな治療がいいか
前立腺がんです。PSA(前立腺特異抗原)は3.7~4.9で推移し、半年前の生検の結果は2か所ともグリソンスコア6(比較的進行の遅い高分化の前立腺がん)で、がんの進行度を示すTMN分類ではT1(触診や画像では診断できない)なのでPSA監視療法となりました。今回、半年経過後の検査を行い、PSAは3.77、グリソンスコアは2か所のうち、1か所はスコア6でしたが、もう1か所がスコア7で中リスクとなり、PSA監視療法の範囲を超えたので、「全摘手術、放射線、ホルモン療法のいずれかを選択すべき」と言われました。3つの方法の中では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」による全摘手術かと思いますが、現役で会社経営を行っていることもあり、尿障害と性機能を考えると躊躇します。どうするべきか、ご指南ください。(67歳男性)
人生観や治療効果、副作用など考慮して選択を
治療方法の選択肢が多い早期がんで発見されたことで、かえって悩まれていると思います。同様な患者さんは多くいらっしゃいます。がんの大きさや画像所見などがわかりませんが、ご自身の人生観にも大きく左右されると思います。確実にがん組織を取り除くことにおいては手術療法が最も有効であり、摘除標本でがんの大きさや悪性度を直接、評価できる利点もあります。放射線療法も治療技術が進歩しており、10年程度ではいずれの治療を選択しても生存率において差はないと考えます。副作用が心配なので治療を受けたくないという患者さんもいらっしゃるでしょう。そのような場合は、結果としてPSA監視療法を継続することになると思います。主治医の先生と今一度相談され、場合によってはセカンドオピニオンを受けることもお勧めします。(日本専門医機構協力)