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措置入院、支援手厚く…相模原殺傷最終報告

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診療体制、強化へ

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最終報告書について記者会見する有識者検討会のメンバーら(8日午後、厚労省で)

 報告書では、再発防止策の一つとして、措置入院中の診療内容の充実を挙げた。事件の検証で、措置入院中の植松容疑者に対する北里大東病院の診療が不十分だったことが判明したためだ。

 検討会は、同病院が最終的に「大麻使用による精神障害」と診断したのに、薬物依存の治療を行わなかったことを問題視した。さらに、大麻の影響だけでは、「国から許可を得て障害者を刺し殺さなければならない」などの容疑者の言動や行動は考えにくいと指摘。パーソナリティー障害など他の精神障害を疑い、心理検査などを行うべきだったとした。

 精神科救急の現場では、統合失調症などの患者が多く、医師が薬物使用者の対応に慣れていない背景があるという。

 報告書では、事例が少ないケースでも適切な診療が行える体制作りが必要と指摘。措置入院中に行うべき診療内容を定めた指針を国が新たに作成するよう求めた。指針に沿って体制を整えた医療機関には、診療報酬面で優遇することも検討する。

 薬物依存の治療は、約10年前から認知行動療法を用いた治療プログラムが広がりつつあるが、実施している医療機関や精神保健福祉センターなどは今年9月現在で65施設にとどまり、近くに対応できる施設がない地域もある。こうした状況を踏まえ、報告書では、薬物依存治療などで専門性の高い公的病院と連携することも提言した。

警察対応、検証不十分の声

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 事件の検証では、自治体や病院など医療・福祉機関と、捜査当局である警察との連携不足が浮き彫りとなった。

 事件では、犯行予告した植松容疑者を神奈川県警が保護した上で、相模原市に通報し、措置入院となった。入院中の検査で大麻使用が明らかになったが、市や病院は県警に連絡せず、犯罪情報などの共有のあり方が問われた。

 報告書は、関係機関の相互理解が必要だと指摘。具体策としては、地域ごとに自治体や警察などによる協議会を定期的に開催し、犯罪情報を含めた情報共有のあり方を話し合うよう提言した。

 こうした協議会の活動はすでに一部の地域で始まっている。厚労省が今秋に県や政令市など17自治体を対象に実施した調査では、措置入院について意見交換する場を設けているのは11自治体(65%)で、うち約7割は警察も参加。開催の頻度は年に1回が最多の6割だった。

 ただ、個別の患者の情報共有については難しさもある。兵庫県では地域協議会を運営しているが、互いの信頼関係構築が目的で、個別事例は「地域事例検討会」で情報を共有。2014年度に800回開催された事例検討会に警察が参加するのは、近隣トラブルが想定される場合など限定的だという。県の担当者は「すべての事例に警察が参加するのは、患者の人権との関係でなじまないのでは」と話す。

 有識者検討会には、警察庁や法務省もメンバーとして参加した。警察の対応について報告書は、容疑者を刑事手続きではなく、措置入院での対応とした判断について、「検挙は困難で、一連の対応は法令に沿ったものだった」とした。ただ、退院後から事件発生までの警察の対応については言及はなかった。

 先月30日に開かれた自民党の会議では、「警察はもっと前向きな対応がとれたのではないか」などと、警察対応の検証が不十分との意見が相次いだ。自民党では引き続き、警察庁などに対し、検証を求めていくという。

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