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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

世界一子供が幸せな国・オランダ その理由を探りに(育児編)

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だしパックを破ってぶちまけている息子です。

だしパックを破ってぶちまけている息子です。

 1歳になった息子にインフルエンザの予防接種を受けさせるために母に小児科に連れていってもらったところ、1歳になったら打つものや打ち忘れていたものがあったので、なんと7本の注射を打たれました。ヒブ、肺炎球菌、MR(麻疹風疹混合)、水痘、B型肝炎、ムンプス(おたふく風邪)、インフルエンザ、です。そのうちB型肝炎の3回目接種は1歳になるまでは無料だったのに、1歳になってしまったので5000円かかりました。上の子の時には予防接種のスケジュールを常にチェックし、毎回きちんと受けていたのに、2人目ともなると、忙しさにかまけてこの有り様。息子に申し訳ないです。7本の注射を打たれた息子は、保育園でスプーンを2本持ってご飯をバクバク食べていたそうで、ご機嫌で何よりです。

 オランダが「世界一子供が幸せな国」である秘密を探りに訪問したリポートをこちらで書かせていただいていますが、今回はその最後となる「育児」編です。

 オランダでお会いした日本人の方々は口々に「オランダで育児ができて本当に良かった」とおっしゃっていました。親がそう思えるということはとても大きいことだと思うのですが、その理由は?

夫婦そろって子育て時間を確保 羨ましい労働システム

 オランダはワークシェアが普及していて、福利厚生はそのままに労働時間を80%(合計週4日)や60%(合計週3日)のように調整することができます。給与は働いた時間に応じて受け取れます。そのため、育児中は夫婦とも80%勤務にするなどして、平日の休みの日をずらし、子供との時間を確保しているとのことでした。日本のように残業が当たり前ではないので、家族全員で夕飯の食卓を囲むのが一般的とのこと。

 きっちり時間を区切って働いて、休日を確保できることは、子作りや子育て中の人以外にもいいことなので、日本も長時間労働を早急に是正してほしいです。

 夫婦そろって子育てに時間を割きやすい労働システムであることもいいなと思ったのですが、今回私がオランダでいろいろな人の意見や考え方を聞いて、ここが日本と決定的に違うと思った点は別にあります。それは、親に課される義務やプレッシャーが少ないということです。

食に関して親の負担が軽いオランダ

 日本人でオランダで子育てをした方々に聞いたところ、特に食に関して親の負担が軽いのが楽だったとおっしゃっていました。

 日本で子育てをした方は、離乳食づくりが大変という経験をした方が多いのではないでしょうか。重湯から初めて、たんぱく質はいつから与えるだの、卵はどうするの、子供がバランスよく食べないだの、私自身とにかくわずらわしかった印象しかありません。離乳食の本を買ってみても「簡単」といいながらすごく面倒くさいレシピがたくさん載っていて、見るだけでプレッシャーを感じました。他の家族の食べるものも作らないといけないのに、こんなの無理!

 でも、オランダで子育てした方によると、「オランダの離乳食は牛乳にパン粉を混ぜて食べさせるだけですごく楽。悩んだことはない」とのことです。さらに、毎日お弁当を作るために早起きしている方も多いと思いますが、オランダではお弁当はパンだけで、キュウリを切ったものとプチトマトが入っているだけで豪華な部類だそうです。朝と昼はパンだけで、夜だけいろんな食材を食べるそうです。

 もちろん日本の食文化は素晴らしいし、世界一だと思っています。それは、きっと小さい頃からの食育とは無関係ではないでしょう。ですから、どちらが良いとは言えませんが、親が気楽に育児できるのはオランダだし、親の心の余裕は子供にとって非常に大切なので、オランダを見習う点はあると思いました。

細かいことを気にしない! 日本でも見習いたい

 その他、保育園や幼稚園から市販されているものを手作りさせられたり、オムツを持って帰らされたりすることもないそうで、日本の親は子供の目を見てスキンシップをはかる時間や自分のために使う時間を無駄なまでに割かされているなあ、と地球の反対側に行って改めて思いました。

 私自身が大雑把な性格で、冒頭に書いたように息子の予防接種も延び延びにさせてしまうし、働きながら2人の子供を育てることで精いっぱいな上に、働き方も中途半端で肩身が狭いと感じることもあります。オランダのように皆が働きながら子育てに時間を割けるシステムで、細かいことをあまり気にしないという風潮はとても羨ましいと思いました。日本でも子供の笑顔のために見習えるところは見習ってほしいなあと思います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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3件 のコメント

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うらやましいです

makikko

産後、すぐに仕事復帰したため、 大きな罪悪感を持ちながら、市販の離乳食を使っていました。 現在でもあまり料理をしない自分に いつも後ろめたさがあ...

産後、すぐに仕事復帰したため、
大きな罪悪感を持ちながら、市販の離乳食を使っていました。
現在でもあまり料理をしない自分に
いつも後ろめたさがあります。
オランダのような考え方、目からうろこでした。
幸い、現在4歳の一人息子は
好き嫌いなくなんでもモリモリ食べてくれることが救いです。

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努力しても

ゆにさん

ほんとにプレッシャーすごいと思います。人の味覚は3才までに決まるとか言われて焦らない親がいるでしょうか。行政の指導やレシピ本に従って、鰹節からだ...

ほんとにプレッシャーすごいと思います。人の味覚は3才までに決まるとか言われて焦らない親がいるでしょうか。行政の指導やレシピ本に従って、鰹節からだしをとったりしてました。いつもは顆粒だしです。あんなに頑張ったのに、今親の目を盗んで駄菓子を食べまくっています。スナック菓子類も大好き。あの努力は何だったんだろう…もっと手抜きすれば良かったです。

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離乳食、羨ましいですね。

ひここ

日本では、ミニ懐石!?と思うほど、使っている食材も品目も多すぎるレシピが紹介されてますもんね。 おまけに、SNSや育児雑誌でも、意識高いママさん...

日本では、ミニ懐石!?と思うほど、使っている食材も品目も多すぎるレシピが紹介されてますもんね。
おまけに、SNSや育児雑誌でも、意識高いママさんたちの美味しそうな離乳食の写真が紹介されてるし。
そんなこと到底できない自分はダメな母さんじゃないかと、いつも落ち込んでいました。
でも、世界目線で見たら、日本の方が変わってるのかも。と、今回のブログを拝読して思いました。
作るのが好きな人は頑張ればいいし、できない人はそれなりに、という姿勢をお母さんも、見守る周りの人も持たないといけないですよね。

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