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医者が患者になって(1)「医療に絶対はない」実感

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医者が患者になって(1)「医療に絶対はない」実感

現在も埼玉県で診察にあたる前川さん。「新たな発見があります」と話す

 医者として約50年、東京地下鉄サリン事件や東海村臨界事故で被害にあった患者も診てきた東京大学名誉教授(救急医学)の前川和彦さん(75)には、5回の入院歴がある。

 交通事故による骨折2回(上あご29歳、 頸椎けいつい 32歳)、両目の網膜 剥離はくり (49歳)、胃がん(54歳、病期2C)、椎間板ヘルニア(73歳)。前川さんは「どれも痛かったが、ヘルニアは手術前に鎮痛剤の注射を追加するほどで、 悶絶もんぜつ 型と名付けたくなるほどひどかった」と振り返る。

 前川さんは入院の度に、医者では分からなかった患者の気持ちを実感してきた。

 頸椎骨折の時は、骨が再生するまで12週間、頭をワイヤで引っ張り、ギプスで頭から肩まで固定するなど、ベッドで安静を強いられた。「眠いのに午前6時に起こされ、眠くないのに午後9時に消灯。まるで刑務所暮らし。食事以外に楽しみはなかった」と話す。

 網膜剥離では術後1週間、眼帯を着けて暗闇の時間をベッドで過ごした。一番の楽しみのはずの食事は、看護師に食事を口まで運んでもらうのだが、味覚には視覚の影響が大きいらしく、何を食べても砂をかむような感じで、おいしくなかった。一方、聴覚は普段以上に鋭敏になり、廊下を歩く足音が気になった。

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