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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

世界一子供が幸せな国・オランダ その理由を探りに(産後編)

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粘土のハンバーグを仕上げる娘です

粘土のハンバーグを仕上げる娘です

これはいい!オランダに学ぶ産後ケア

 週末に東京・江東区の子育てメッセで産前産後の知識についてお話をしました。Eテレの「ニャンちゅうワールド放送局」で「おねんどお姉さん」として人気の岡田ひとみさんのワークショップがあり、家族でそちらに参加しました。娘はおねんどお姉さんが大好きで、1か月以上も前から会える日を指折り数えていたので、とても楽しんでいました。お姉さんと対面したときにあまりにも緊張して明後日の方向に歩いて行ったときはほほえましすぎて笑えました。相変わらず1歳の息子は連れまわされるばかりです。

産後ケアを担う国家資格「クラームゾルフ」

 オランダの取材報告の「産後編」です。オランダでは病院で出産した場合、出産後数時間で退院となるそうです。自宅で産んでも病院で産んでも、産後はクラームゾルフという人が通ってきてくれます。クラームゾルフというのはオランダで産後ケアを担う職種で、専門の学校に通って国家資格を取得するとのことでした。クラームゾルフは産後8日間にわたって毎日訪問し、朝から夕方まで滞在して来客にお茶をだすことから母乳のケアまで行います。

 日本では、入院期間は長いものの、里帰り 分娩ぶんべん や二世帯同居、父親の育休取得などがなければ、母親は退院と同時に家事と育児を母親が一人でしなければなりません。

日本では自己負担が壁に

 クラームゾルフの制度は、退院後の生活がソフトランディングできてとても良いと思います。日本でも民間や自治体主導の滞在型・訪問型の産後ケアサービスや、ヘルパーの助成制度などがあり、うまく活用している人もいます。しかし、経済的に自己負担が生じるものは、我慢できたら我慢してしまう人や、夫に甘えだと思われているようだという人も少なくありません。また、自宅に人が出入りすることに抵抗を覚える人もいます。それが「制度」として「義務化」に近い状態になるほうが、「仕方なく」楽をするようになるのではないかと思います。頑張れるだけ頑張ってしまうけれど、過労で自分のメンタルが むしば まれていることにはなかなか気づかないというのは産後に限らないことですが、私自身も第1子の出産後に経験済みです。

大事なケア提供者の質の管理

 また、クラームゾルフがいいなと思ったのは国家資格である点です。母親の出産後の生活の注意点や骨盤底筋のケア、母乳や育児のアドバイスには専門知識が必要で、数回のセミナーを受講すれば取得できるような民間資格ではなく、解剖学や生理学などの基礎医学から学んで取得するような国家資格であってほしいと思います。有国家資格者ならば絶対に大丈夫というわけではもちろんありませんが、昨今の「医療デマサイト」の繁殖ぶりを見ると、基礎医学の知識というのは極めて重要であると感じます。信頼性の低いアドバイスを母親にしないためにも、ケア提供者の質の管理はとても重要だと思います。

 日本にもぜひ産後ケアと新生児ケアの国家資格を作ってくれないかなあなどと妄想してしまいます。お産についてはオランダの 真似まね をしたいと思う点は少なかったのですが、産後の制度は良いものだと思いました。次回はオランダの育児についてリポートします。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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