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泌尿器科医・小堀善友の新オトコのコト

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中国でも増える男性不妊症

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 先日、中国・北京で行われた国際性機能学会(WMSM)で発表の機会があり、参加してきました。中国は近いようで遠い国であり、実は今まで一度も行ったことがなかったのです。そこで、今回は国際性機能学会で得た新しい知識について記します。

初めての訪中

中国でも増える男性不妊症

 まず、中国に到着したのは良かったのですが、最初は不安がありました。言葉がわからないし、どんな国かもイメージがわかず、はっきりしなかったからです。

 空港から地下鉄に乗ってホテルに向かいましたが、驚いたのはその人の多さ。JR埼京線よりも混んでいる電車を初めて見ました。しかし、ホテルに着いて近くのレストランへ食事をしに行くと、安くておいしいご飯も食べられ、観光も楽しませていただき、中国に対して抱いていたイメージが大きく変わりました。

 大気汚染があり、日中晴れていてもずっとスモッグがかかっているのは困りものですが、歴史的建造物も多く、食事もリーズナブルでとてもおいしく、旅行するにはとても良い国だと思いました。

整形外科の薬、ペイロニー病の治療に

 さて、そこで得た新しい知識について1つ記載します。

 以前、ペニスが勃起時に曲がってしまう「 ペイロニー病 」について記しました。

 別名、陰茎形成性硬化症といわれていて、陰茎の一部(皮膚の下にある白膜という膜)が硬くなって、しこりのような状態(プラーク)となってしまい、勃起をした際にその部分を支点として陰茎が曲がってしまう病気です。

 少しの屈曲なら良いのですが、大きく曲がってしまうとセックスができなくなってしまいます。薬物の治療効果がないために、手術が必要となります。

 このプラークは、コラーゲンが原因となってできたものであることがわかりました。そこで、コラーゲンの組織を破壊するザイヤフレックスという薬を陰茎に注射することで、しこりがなくなり、ペイロニー病が治療できるというのです。

 そもそも、この薬は整形外科領域で使われていたものですが、ペニスにも効果があるとは驚きでした。

乏精子症、無精子症…クリニックに大行列

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 また、中国の不妊症についての講演も聞きました。「 ヒトの精子は減ってきている 」といわれており、中国のデータでも、男性の精子濃度が過去と比較すると減少してきていることが明らかになったというのです。

 そのため、精子の少ない乏精子症や、精液中に精子がいない無精子症も増え、男性ホルモンも低下してきているそうです。

 そのため、不妊クリニックには文字通り大行列ができており、建物の外の道路まで患者が (あふ) れかえっている写真が紹介されていました(さすがに「これは大げさすぎるのではないか」と思ってしまいましたが、地下鉄の行列を見たあとでは信じてしまいそうです)。

 現在、中国では400の不妊症クリニックがあり、年間70万件の人工授精、体外受精、顕微授精が行われているそうです(人工授精と体外受精を分けたデータはありませんでした)。

中国のドクターに負けないように

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北京の紫禁城を訪れたところ、そこは中国人でいっぱいでした

 治療技術はどんどん進んでおり、日本と同じように、顕微鏡手術も発展してきているようです。顕微鏡手術のトレーニングセンターも中国にはできており、教育、訓練、発展を目指しているという講演内容でした。

 不妊治療は現在、日本の方が進んでいると考えていたのですが、この勢いでは抜かされてしまうのではないかと思いました。私も中国のドクターに負けないように精進したいと思います。

 と言いながら、観光は楽しんでしまいましたが。写真は 紫禁城(しきんじょう) で撮ったものです。この時も、中国人でいっぱい! すごいな中国!

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小堀善友(こぼり・よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から16年3月まで米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。ホームページは「Dr.小堀の男の妊活ガイド」。略歴の詳細はこちら

主な著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。

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