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知って安心!今村先生の感染症塾

コラム

インフルが流行入り…ノロとのダブルパンチも

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インフルが流行入り…ノロとのダブルパンチも

 2016年11月24日、都心でも雪が降りました。11月の初雪は54年ぶり、積雪は1875年(明治8年)に観測を開始してから初めてだそうです。さらに、東京都からは同じ日にノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の「流行警報」と、インフルエンザの「流行開始」も発表されることになりました。ノロウイルスとインフルエンザは、日本の冬に毎年流行する2大感染症。今年はインフルが早めの流行開始となったため、ダブルパンチとなる可能性もありそうです。みなさん、流行への準備は大丈夫ですか?

恐るべきノロウイルスの感染力

 ノロウイルスは、感染した人の便や 嘔吐おうと 物を介して、人から人へと急速に広がっていきます。このウイルスは、感染した人の便1gに1億個、嘔吐物1gにも100万個も含まれているとされています。そして、わずか10~100個のウイルスが口にはいっただけで感染してしまう可能性があるのです。さらに、乾燥にも強いため、ドアノブなどの環境でも数時間~数日間も感染力を保ちます。

脱水対策が初期対応のポイント

 ノロウイルス胃腸炎は、通常は数日の経過で自然軽快していきます。したがって、吐き気や下痢のひどい1~2日を、脱水を起こさないように乗り越えることが初期対応のポイントとなります。特に小さなこどもや高齢者は脱水に弱いので、嘔吐や下痢がはじまったら、早期に対応を始めることが重要です。どうしても口から水分を補給できないようなら、診療所や病院を受診することも検討しましょう。

二次感染を防ぐために

 二次感染を防ぐためには、下痢になった人が、しっかりとトイレ後の手洗いをすることが大切です。また、嘔吐物は乾く前に処理します。乾燥させてしまうと、ホコリといっしょに舞い上がり、ウイルスが口に入って感染してしまうことがあるからです。

 医療現場では、ノロウイルスに汚染されたものを処理する時に、次亜塩素酸ナトリウムという消毒剤を使います。この消毒薬は、家庭で使っている塩素系漂白剤を薄めることで作ることができます。薄め方については、以下のページを参考にしてください。

  『感染性胃腸炎(ノロウイルスを中心に)』東京都

  『ノロウイルスの消毒方法』食品安全委員会

インフルエンザも全国的な流行シーズン入り

 東京都は11月24日にインフルエンザが流行開始となったことを発表しました。そして、翌25日には、全国的な「流行シーズン入り」となったことが、厚生労働省から発表されました。これは、14日~20日のデータ集計によって、全国の定点医療機関からの報告が、流行開始の目安となっている数値を上回ったことで判断されています。

  【読売記事】インフルエンザが流行入り…例年より2週間早く

  『報道発表資料:インフルエンザの発生状況について』厚生労働省

インフルエンザの症状

 インフルエンザは、感染してから発症するまでの潜伏期間は1~3日。突然の高熱で発症することが多く、頭痛、筋肉痛、関節痛も、よくみられる症状です。また、鼻水、 のど の痛み、 せき などを伴うことがあります。多くの人は自然に軽快するのですが、小児では脳症を、高齢者では肺炎を合併して重症化し、死亡することもあります。

インフルエンザの検査

 インフルエンザの検査では、長い綿棒のようなもので 鼻腔びくう (鼻の奥の方)をぬぐい、それを短時間で判定する迅速検査が一般的です。発症直後は、検査しても陽性とならないことが多いので注意が必要です。そして、最も検出される時期でも100%診断できるわけではないということも知っておきましょう。つまり、検査して陰性だからといって、インフルエンザを完全に否定することはできないのです。

抗インフルエンザ薬について

 現在一般的に使われている抗インフルエンザ薬には、内服薬、吸入薬、そして点滴の薬があります。そして、一般的には発症48時間以内の治療開始がすすめられています。抗インフルエンザ薬は、症状を軽くして発熱期間を短くするという効果、そして少しでも重症化を防ぐことを期待して投与します。

 薬を飲んだのに熱がすぐに下がらなかったとしても心配しないでください。そもそも、飲んだら熱がすぐに下がるというほどの特効薬ではないのです。インフルエンザは、軽症例ならば解熱剤などの対症療法のみでも、自然に良くなることが多い感染症です。インフルエンザと診断されたら必ず抗インフルエンザ薬を投与しなければならない、というわけでもありません。

ワクチンは、まだ間に合う?

 インフルエンザが増えているという情報を知って、「ワクチンは、まだ間に合いますか?」という質問も増えています。今年のインフルエンザは、例年と比べて少し早めの流行入りとなりました。これから通常のペースで感染が広がっていくならば、年末にかけて地域的な流行となっていきます。そして、年末年始の休みで人の大きな移動があり、学校や会社が始まる年明けから一気にピークへ向かうことが予想されます。ワクチンは効果が出るまで2週間かかります。ご希望の方は、早めに接種しておくことをおすすめします。

 インフルワクチンは「かからないワクチン」ではなく、重症化を防ぐのが本来の目的となっているワクチンです。インフルエンザは、時に治療が間に合わないようなスピードで悪化して、重症の脳症や肺炎を起こすことがあります。したがって、特に基礎疾患のある人、子どもや高齢者など、重症化のリスクが高い人ほど接種が強くすすめられます。そして、ワクチンを打っても過信せずに、手洗いなどの日常的な予防はしっかりと続けることも大切です。

どちらも手洗いが大切

 ノロウイルスが流行のピークになり、インフルエンザも全国的な流行入りとなりました。これらのウイルスは、感染力が強く、乾燥にも強いことが特徴です。流行が拡大すると、様々な環境もウイルスで汚染されてしまいます。そして、環境を介して汚染された手を口や鼻にもってくることでも感染してしまいます。園や学校・施設、会社、そして家庭内でも、手洗いの重要性を再確認してください。

休みやすい環境づくりを

 インフルエンザと診断された場合の出席停止期間については、『発症したあと5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで [注:保育所は解熱後3日]』と、学校保健安全法によって定められています。なお、大人については、このような法律上の規定はありません。したがって、とりあえず子どもの基準に合わせて、就労停止の期間を説明されていることが多いと思います。インフルエンザやノロウイルスにかかった時に、無理して登校・出勤させてしまえば、結果的に感染を広げてしまいます。たとえ診断が確定していなくても、下痢や発熱などの症状があって調子が悪い時には、安心して休むことができるという環境づくりも大切です。

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今村顕史(いまむら・あきふみ)

がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

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1件 のコメント

ノロウイルスは怖い

ちざる

ノロウイルスにかかったことあるけど、体力ない人は死ぬ可能性が大いにある。 しっかりとした手洗い、素手で食事しない、食材は十分に加熱する、 牡蠣は...

ノロウイルスにかかったことあるけど、体力ない人は死ぬ可能性が大いにある。
しっかりとした手洗い、素手で食事しない、食材は十分に加熱する、
牡蠣は、カキフライでしか食べない(知り合いが、カキなべでノロになった。
クリーム煮込みで十分に加熱したらしいが、クリームなので中まで十分な加熱ができていなかった)など、臆病なぐらい注意した方が良い。
なったことないけど、インフルと合併したらたとえ健康な成人でも下手したら
死ぬかもよ。個人的には、全部の生肉、生ガキ、中途半端に火を通したカキを
法律で全面的に禁止してほしい。

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