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性とパートナーシップ

妊娠・育児・性の悩み

心身に障害を持つ女性 「それでも愛し合えるパートナーが欲しい」(2)

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心身に障害を持つ女性 「それでも愛し合えるパートナーが欲しい」(2)

 軽い手足の障害と心の病を抱え、休職中だった女性はしばらく二分脊椎症を持つ年上の彼と、幸せな恋愛関係を楽しんでいました。出会って数か月で迎えた女性の20歳の誕生日には、おしゃれな居酒屋で乾杯して祝ってくれました。

 ところが、とても幸せなはずなのに、女性は照れ屋の彼があまり「好き」などと言葉にしてくれないのを不安に思うようになりました。

 「電話で毎日『好きって言って』と私がお願いしても、『俺は言葉で言わなくても好きだから勘弁して』と彼は言うのです。それでも私は好きと言ってくれるまで安心できないから、言葉を求めてしまう。もちろん初めて彼氏ができて舞い上がっていたこともありますが、今振り返ると、いわゆる相当『重い女』でした。不安になるたびに、薬を飲み過ぎて倒れてしまうことを繰り返すのです。それでも彼は根気強く、私に付き合ってくれました」

 交際数か月で初めて迎えたゴールデンウィークには、関西の実家に帰るという彼に、「一緒についていきたい」と言いました。さすがにそれは断られ、泣く泣く見送りました。離れている間にインターネット電話のスカイプで会話をしていたら、寂しくなって、通常量の2倍の抗うつ薬を飲んでふらふらになったこともありました。

 「度々薬を飲み過ぎる私に、彼は『お願いだから薬を飲み過ぎてしまう自傷行為はやめて。もう2度としないと約束して』と約束させていたのに、私はなかなか守れませんでした。破ってしまう度に、『守ってほしかったな』と寂しそうに言う彼の顔を見て、罪悪感が募る一方でした」

 20歳の誕生日を迎えて3か月後の夏、いつもよりもうつ状態がひどく、薬を飲んでも気力が出ないと感じていた頃でした。その週の土、日曜も会う予定でしたが、週末が近づくにつれ、一睡もできなくなりました。そして、急激にテンションが上がっていき、自分でもどうにもならないほど気持ちが高ぶっていくのを感じました。うつ状態から急に (そう) の状態になる「躁転」の症状でした。

 翌日、かかりつけの精神科に行くと、「入院した方がいい」と言われ、閉鎖病棟に入院することになりました。日中は家族も外出して常に付き添ってはいられない中、一人でいるのは危険な状態と判断されたのです。

 入院すれば携帯電話は使用禁止。病院に向かう電車のホームで、仕事中の彼に電話をかけましたが、留守番電話でした。泣きながら、録音に「もしもし……。今から入院するから」と吹き込み、閉鎖病棟に入りました。

 最寄り駅から30分近くかかるその病院に、彼は入院3日目に会いに来てくれました。家族以外は面会禁止でしたが、女性の母親が一緒に連れてきてくれたのです。ナースステーションに彼の姿を見たとたん、女性はぴょんぴょん跳ねて喜んでしまいました。彼に夢中になって抱きつき、車いすのブレーキをかけていなかった彼が、バランスを崩して倒れてしまいそうになるほどでした。

 1か月の入院中、彼は週1回は来てくれて、女性を励まし続けてくれました。そして、退院許可が下り、ようやく退院。女性は離れていた寂しさもあって、以前よりも強く彼を求めるようになりました。何度も何度も「好きって言って!」「愛しているってなんで言ってくれないの!」と求めては、悲しい表情の彼が棒読みのように「好きだよ」「愛しているよ」と繰り返すのを聞いて、余計、不安が募りました。

 それを繰り返すことに耐えきれなくなった彼がついに「もう一緒にいるのは無理だよ」と告げ、交際半年ほどでいったん二人は別れることになりました。

 「私は彼が好きなまま別れたので、しばらくは抜け殻のようになっていました。別れた後も彼に電話をし、何時間も泣きながらすがることもありました。彼も忘れられなかったようで、別れた2か月後に好きなミュージシャンのコンサートに誘ってきたり、『ケーキを作ったから食べに来てよ』と自宅で手料理を振る舞ってくれたりしました。彼がその時『またやり直したい』と言ってくれて、私も『いいよ』と答えて復縁しました」

 

 クリスマスには大阪に障害者関係のイベントを見に行ったついでに、「あなたの育った街を見てみたい」と頼み込んで、彼の関西の実家に遊びに行きました。彼の両親にもあいさつし、二人も女性を気に入ってくれたようでした。

 「私は復縁して彼と絶対に結婚すると思っていました。神戸で観覧車にも乗り、一番てっぺんでキスをし、『幸せにしてくれる?』と聞いたら、彼は『うん』と答えてくれました」

 それでもやはり女性は、愛されていないのかもしれないという不安を抑えることができず、また、愛の言葉を求めたり、不安になると過量服薬で倒れたりすることを繰り返しました。そして再び彼はメールで「別れよう」と告げてきました。交際1年半。「いったん身を引こう。いつかまた復縁できるはず」と考え、女性は了承しました。

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22件 のコメント

えりにゃんさん

エルサ

お幸せそうで、何よりです。 見ず知らずの私ですが、えりにゃんさんの投稿を読んで、とても幸せな温かい気持ちになれました。 ありがとうございます。 ...

お幸せそうで、何よりです。
見ず知らずの私ですが、えりにゃんさんの投稿を読んで、とても幸せな温かい気持ちになれました。
ありがとうございます。

慎重なえりにゃんさんを、そっと見守り支えたり、付かず離れずの距離を保てるご主人が素敵ですね。
信頼できる男性と結ばれて良かったですね。
なんかじんとして、涙が出そうです。

えりにゃんさんご夫婦のような、思い合えるご夫婦になってくれたら、家族としてこんな嬉しい事はないですねー。
お身体大事になさって、末永くお幸せに。

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幸せな結婚をしました。つづき

えりにゃん

それでも20代後半に夫と知り合い幸せな結婚をしました。 性行為への様々な恐怖はありましたが、自分の性や貞操に対する考え方を事前によく伝えていまし...

それでも20代後半に夫と知り合い幸せな結婚をしました。
性行為への様々な恐怖はありましたが、自分の性や貞操に対する考え方を事前によく伝えていました。
それに対して夫はとても誠実だったのでゆっくり私のペースで恋愛できたことが大きかったです。
病気はその後の結婚による環境変化で一時的に悪化しました。
夫は私の病気や苦しみは理解はしてくれますが、病気への認識がドライというか楽観的なので、配慮やサポートはするけれど特別扱いはしません。
夫が心理的な線を引いてくれるおかげで、私が夫に依存しそうになっても解き放ってくれるのが救いです。
でも子供ができると話がまた複雑になっていきそうな気がしており、夫には少しだけ時間を待ってもらい、今また自分の中の別の何かを整理しているところです。
性行為はしていますが避妊中です。

体験談として投稿させていただきました。

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幸せな結婚をしました。

えりにゃん

既婚30女です。双極性障害と診断され、それとは別に何らかの発達障害があると自覚しています。 私の場合は異性がとにかく苦手な存在で、特に思春期以降...

既婚30女です。双極性障害と診断され、それとは別に何らかの発達障害があると自覚しています。
私の場合は異性がとにかく苦手な存在で、特に思春期以降は対面するだけで何だかよく分からないが自分が脅かされるような不安感を抱えていました。
私は昔から自尊心が低くアイデンティティも未成熟のまま大人になりました。
20代の時に異性から好意を寄せられることがありましたが、私は性行為そのものへの恐怖と言うよりも、それがもたらす心理面への影響が恐怖でした。
恐らく自分でも依存傾向が強いことを何となく自覚しており、自分の心の整理と言うか準備が整っていない間に相手のペースで恋愛が進んでしまうのではと思うと、自分というものが飲み込まれるような危機を感じていました。
片思いの浮かれたり落ち込んだりならまだいいのですが、恋愛に発展して性行為が絡んでくると、妊娠の可能性もありますが、私の場合は心理的な錯覚を起こしてしまいそうで、自分の中で何かが確立するまでは時期じゃないと恋愛に発展するのをとにかく避けていました。
同年代の友達を見ていて20代の恋愛は失敗が多い印象があり、健全な人でも失敗はかなりの痛手ですが、私はその失敗のダメージが自分を崩壊させると予感しており命取りな状況でした。
(前途の「自分の中の何かが確立しないと」というのが、未だに何なのか分からないため体験談としてあまり役に立たず恐縮です。。
少なくとも私は自分の体内に自分以外のものが侵入してくることによる心理的な脅かされ感がすごかったです。

つづきます。

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