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性とパートナーシップ

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心身に障害を持つ女性 「それでも愛し合えるパートナーが欲しい」(1)

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心身に障害を持つ女性 「それでも愛し合えるパートナーが欲しい」(1)

 次はこの連載史上、最年少の20代の女性です。なんと、平成生まれなんですねえ。若いのにこの欄にたどり着いてくれたのは、「障害と性」について関心があり、そういうキーワードで検索したから。ご本人は軽度の脳性まひによる身体障害があり、アスペルガー症候群と双極性障害、いわゆる 躁鬱(そううつ) 病もあって、服薬治療中です。

 「恋愛することもありましたが、どうしても対人関係がうまくいかず、あまり長くお付き合いしたことがありません。身体障害と発達障害を併せ持っているので、両方を受け入れてくれる方となると厳しいのが現実です。このような悩みを抱えた当事者がいること、そしてそれを誰にも言えずに悩んでいることが少しでも伝わればと思い、メールをしました」と、編集長メールアドレス(e-yomidr@yomiuri.com)に連絡してきてくださいました。

 後日待ち合わせて都内のホテルのラウンジでお目にかかった女性は、ショートカットが似合うおしゃれな方で、一見、障害があるとは気がつきませんでした。

 「特に周りの人には言っていませんし、あまり気づかれないようですが、手足を動かしづらくて箸や靴ひもの扱いが難しいですし、人間関係が苦手なんですよね」と語りますが、初対面でもインタビューはスムーズに進みました。

 双子の女性は、母親が子宮 頸管(けいかん) 無力症で早産となり、8か月で妹と共に生まれました。体重が1225グラムしかなく、3か月を保育器で過ごした後、退院。その後は順調に大きくなっているように見えましたが、2歳を過ぎても歩かないのを心配した母親が病院の小児科に連れていき、検査の結果、軽い脳性まひの後遺症があることがわかりました。

 学校に上がっても、手足の動きが悪く、体力も同年代の子供たちに比べて劣っていたため、五教科は問題なかったものの、体育や図工、家庭科などで苦労しました。体育でチームプレーが必要な球技などでは、「○○ちゃんのせいで負けた」といじめられることもありました。親から自分の障害について聞いたのは高校生になってからでした。

 女性は、たわいもない雑談が続くガールズトークが苦手で、男子とばかり遊ぶようになりました。ゲームやテレビ、漫画の話題についていけないため、女子からは敬遠されるようになり、真面目キャラクターを押しつけられては学級委員などを無理やりやらされたりしていました。

 「女の子同士のおしゃべりって空気を読むことが必要で、今振り返ると発達障害のせいでそれがとても難しかったんです。女の子たちは私のいないところで陰口をたたくのですが、私は自分の何が悪いのか、何が彼女たちをイラつかせるのかがまったくわかりませんでした。学校という場では自分らしくいられないということは感じていて、とても苦痛でした」

 小学校低学年から徐々に学校をサボるようになり、小学6年になると完全に登校拒否となりました。中学にはほとんどいかず、高校は全日制に通学形態が近い通信制高校を選びました。同じクラスの男子が初恋でした。音楽の趣味が合い、カラオケにグループで行くうちに好きになっていき、告白しましたが「友達でいたい」とふられました。

 大学にいっても、人付き合いはうまくいかず、「どうやって友達を作ったらいいのだろう」とずっと苦しい思いをしていました。結局、半年ほどで大学は辞め、就職。身体障害者手帳を持っていたので、ハローワークの障害者枠で職探しをし、大企業の事務職に就きました。

 「パソコンの技術は問題ないのですが、電話対応などが苦手で、何より、やることがない状態が不安で仕方ない。簡単な仕事だったのですが、目の前にやることがないと、『自分はこの会社にいていいのだろうか』と落ち込む気持ちを抑えられませんでした」

 既に高校生の頃から、人前に出ると緊張してうまく話すことができないことに不安を覚え、精神科に通院していました。抗うつ薬の「SSRI」を処方されて、就職してからもずっと飲み続けていましたが、ある日、発作的に強い不安感を襲われ、大量のSSRIを飲んで倒れました。母親が迎えに来て、そのまま休職。結局、半年で退職することになってしまいました。

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岩永直子(いわなが・なおこ)

1973年、山口県生まれ。1998年読売新聞入社。社会部、医療部を経て、2015年5月からヨミドクター担当(医療部兼務)。同年6月から2017年3月まで編集長。

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3件 のコメント

人それぞれ

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最近こちらのコラムに辿り着き、色々な方のご意見を知る事が出来、とても楽しみが増えました。 この女性のように、チャレンジして、前向きに生きていく事...

最近こちらのコラムに辿り着き、色々な方のご意見を知る事が出来、とても楽しみが増えました。
この女性のように、チャレンジして、前向きに生きていく事が大切なのかな。と思います。そう過ごしていくうちに、自分の求める相手は男性だけでなく、同性かもしれないし、ひとりがいいと感じるかもしれない。それが自分に必要だったと気付く日が来ると思います。
だから、編集長さんの仰る通り、一度しかない人生ですので、他人や社会に迷惑を掛けない程度で…しない後悔より、してしまった後悔の方が次に繋がるしこのまま頑張って欲しいな。と思います。

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この記事を読ませていただいて、自分の力だけではどうにも出来ないことが原因で、なぜ若いうちからここまで苦しまないといけないのか、世の不条理・無情さを改めて痛感しました。
自分の体験上、「そのうちいい人が現れる」と、アドバイス出来ないのが辛いです。

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こういう声って貴重ですね。 幸せになって欲しいです。

こういう声って貴重ですね。
幸せになって欲しいです。

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