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介護・シニア
男の料理、楽しく一歩…レシピに忠実に
仕事をリタイアしたのを機に料理に挑戦する男性は多い。生活に楽しみができ、家族の家事の負担も減る。最近は男性向けの料理教室も盛況だ。
「このジャガイモ、何等分にすればいいかな」「ちょっと火が強すぎへんか」
10月中旬、大阪市北区のベターホーム協会梅田教室で開かれた「お料理はじめての会 男性クラス」で、エプロン姿の男性20人が肉じゃがやかき玉汁作りに挑戦した。1年前から受講する男性(76)は「ずっと料理は妻任せできたが、習い始めて1日3食作る大変さが分かった」と笑う。
同協会によると、料理教室の男性参加者で最も多いのは60代。定年退職がきっかけになっているという。講師の宮口かおりさんは「妻が外出する際、せめて昼ご飯くらい自分で作りたい、と思う男性も多い」という。
料理に挑戦するにあたって自己流は失敗のもとだ。わずかな調味料の差で味は変わる。レシピに忠実に作るため、計量の決まり事を知っておこう。
計量スプーンは大さじが15ミリ・リットル、小さじが5ミリ・リットル。2分の1の内目盛りが付いているものが使いやすい。「1杯」は、しょうゆなどの液体はこぼれる寸前、塩や砂糖などは山盛りではなく縁まで平らに入れた状態だ。「ひとつまみ」は親指、人さし指、中指でしっかりとつまむくらいの量をいう。
火加減は、鍋の底に炎の先が届かないのが弱火、届くのが中火。強火は、鍋の周りから炎が出ない程度の強さだ。
「最初は主菜から副菜まで全部作ろうとせず、1品からチャレンジして」と宮口さん。取り組みやすいのは、野菜
作るだけでなく、後片づけまできちんとやることも大事だ。同協会が2013年に定年退職した男性の妻約400人に行った調査では、「夫に料理をしてほしいと思うか」に、38%が「思わない」と回答。理由は「キッチンが汚れる」が最も多かった。
基本から学ぶなら、料理教室が手っ取り早い。多くの自治体も健康づくりなどを目的に男性向け料理教室を開いている。地域で新たな人間関係を築く機会にもなる。広報誌などをチェックしてみよう。
大阪府羽曳野市では、市主催の男性向け料理教室の参加者が07年、「男の腕まくりOB会」を結成した。会員約30人の平均年齢は72歳。年8回ほど料理教室を開くほか、グループホームで焼きそばを作るなどのボランティアも行う。会長の国領邦雄さん(82)は「上達すればうれしいし、家族も喜ぶ。みんなで忘年会や遠出をするのも楽しい」と話す。
シニア男性が料理をする意義は大きい。妻が病気や介護が必要になった時の支えになる。分量の計算や段取り、手先を使う作業は認知症予防の効果もあるとされる。
本来、料理は楽しいもの。気負わずに初めの一歩を踏み出したい。
■男性が料理を始める際のポイント
・ レシピ通りの分量で作り、慣れてきたら調味料を好みの味に加減する
・ 最初からたくさんの調味料は必要ない。まずは塩、砂糖、しょうゆ、酒、みりんをそろえておく
・ いきなり毎日作るのは大変。週に1度でよいので作ってみる
・ 家族に嫌がられないように、後片づけまできちんとやる
・ 失敗は成功のもと。失敗を恐れずにチャレンジする
(宮口さんの話を基に作成)
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