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原因不明の難病患者らのNPO、差別や偏見考えるドラマ制作

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小中学校にDVD無償配布へ

 原因不明の難病「 難治性血管奇形 」の患者らでつくる山口県内のNPO法人「みらいプラネット」が、大学の映画サークルの協力で、差別や偏見の解消を訴える啓発ドラマのDVDを完成させた。全国の小中学校などに無償で配布する予定だ。

原因不明の難病患者らのNPO、差別や偏見考えるドラマ制作

 タイトルは「咲き誇れ、強く Irreplaceable(英語で、かけがえのないの意)」。難病に苦しむ少女が主人公だ。最初は周囲から理解を得られずに苦しむが、信頼できる養護教諭らに支えられ、高校時代に専門医の診断を受けて、前向きに生きるようになるというもので約30分。

 ストーリーの元になったのはNPO法人理事長で山口県職員の 有富健ありどみつよし さん=写真=の体験だ。有富さんは2001年、原因不明の腰痛や左脚のしびれや、腫れに苦しみ、入退院を繰り返した。

 病気による痛みだけでなく「詐病でサボってる」「君に仕事は任せられない」などと周囲の無理解やパワハラによる精神的な苦痛にも悩まされたという。

 9年後の10年にようやく診断が出た後、有富さんはNPOを設立し、知らずにこの難病に苦しむ仲間を探し出して、医療体制や国による支援の充実などを求める活動を始めた。

 その中で、「難病患者だけでなく障害者や犯罪被害者などあらゆる社会的弱者が偏見や差別に苦しむことのない世の中にしたい」と15年春、ドラマDVDの制作を思い立った。

 赤い羽根共同募金の助成金などで250万円を集めた。各大学の映画制作サークルに制作協力を依頼したところ、東京大学の「映画制作スピカ1895」が引き受けてくれた。

 スピカは普段は同世代向けの映画を娯楽目的で作ってきた。代表だった伊藤綾乃さん(22)は「広い世代向けにわかりやすい映像を作るのは初めてだったが、自分たちの知識・経験が誰かの役に立つのならと引き受けた」と振り返る。

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ドラマの一場面。体調不良と級友の心ない言葉に耐えかねて、伊藤さん演じる主人公が教室を出ていく

 15年8月に撮影開始。伊藤さんは監督、脚本に主演も兼ねた。山口県内の小学生や山口市のご当地アイドル「Cara☆Fure」のほか、川上麻衣子さんや原田大二郎さんら趣旨に賛同したプロの俳優たちも参加した。

 DVDにはさらに、塩崎恭久厚生労働相やリオ五輪卓球女子団体で銅メダルを獲得した石川佳純選手、元・うたのお姉さん・はいだしょうこさんなど約140人による応援メッセージの映像も収録し、今年3月に完成した。

 5月には山口県内の小中学校に配布。授業のほか、一般企業の職場研修などにも使われているという。

 有富さんは自伝的著書「負けるものか!」(みらいプラネット)を出版し、印税収入をDVD制作に充てている。最終的にはDVDを5万枚作り、全国各地の小中学校のほか、公立図書館に届ける予定。「たくさんの子どもたちに見てもらって、差別や偏見について考えるきっかけにしてもらえれば」と話している。

 問い合わせは、みらいプラネット事務局(電話とファクス0835・22・3112、メール info@yg-rvm-support.org )へ。

  難治性血管奇形  原因不明で体内の血管がねじれたり絡まったりする病気。手足だけでなく体のどこにでも発症する可能性があり、根本的に治す方法はない。患者数は推定で1万人。いくつかのタイプは国の指定難病になっている。(竹井陽平)

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