乳がん
左胸に「乳管内乳頭腫」の疑い
健康診断で左胸に 腫瘤 と乳管内乳頭腫を疑われました。精密検査では腫瘤の方は確認できず、周りの脂肪と同化しており、乳管内乳頭腫が疑われた部分は、針を刺して組織検査を行い「乳腺症」とのことでした。医師は、「端の細胞はがんかもしれない。手術で取った方がいい」と言いました。場所によって良性か悪性かが異なることはあるのでしょうか。手術をすべきか悩んでいます。(48歳女性)
手術すべきか追加検査を
岩瀬 拓士 がん研有明病院 乳腺センター 乳腺外科部長(東京都江東区)
乳房のMRI(磁気共鳴画像)検査は造影剤を使って、細胞が増殖している部分を白く映し出す検査です。がんでも良性のしこりでも細胞が増えていれば白く写ります。検診で腫瘤と乳管内乳頭腫の疑いの2か所を指摘されていますが、MRIでは後者だけが怪しく写っているようです。
乳管内乳頭腫は乳管の中にできる良性の腫瘍で、乳管の中にできるがんとの区別が必要ですが、画像だけではその区別が難しいと言われています。小さなしこりで気づいたり、乳首から血が出てその存在に気づいたりします。今回は検診の画像で腫瘤に気が付き、組織検査をして「がんの所見はなし」とのことでした。
この場合、「がんでなくてよかった」と安心するためには、〈1〉問題の腫瘤の組織が確実に採取できていること〈2〉採取された組織を顕微鏡で見た結果が画像の形や性質と合うかどうか――を確認する必要があります。
針による組織検査の結果は良性ですが、画像から予想された乳管内乳頭腫のような増殖した細胞はとれておらず、担当医はうまく採取できなかった可能性も考えて手術を勧めたものと思われます。乳管内乳頭腫の方は手術を含め、追加の検査が必要と考えます。