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性とパートナーシップ

妊娠・育児・性の悩み

夫との修復を図りながら迷いが生まれている女性(4)肉体的欲求なのか、精神的欲求なのか

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 「フェイスブックのメッセージで、『再会を楽しみにしています』などと言われると、悪い気はしませんでした。その後、実際に食事をする約束をしたのですが、その直前に認知症の実母が入院し、父も体調を壊してしまいました。さらに子どもの病気も重なったため、約束をキャンセルし、『ああ、縁がなかったのだな』と思っていました」

 女性は両親の面倒を見ながら、改めて「夫婦関係」や「家族」について考えていました。典型的な九州男児で、堅い銀行員だった父親は、亭主関白で母を見下しているところがありました。母は社交的で、夫から得られない温かい思いやりを、女友達との交流で満たしているようなところがありました。しかし、親しい友人が亡くなってからは外出の機会も減り、認知症になってしまいました。父は多少、母の面倒を見ていますが、毎日のようにデイサービスに預け、ときには夜10時くらいまで預けることもありました。

 「母は元気な時も父と一緒に出かけたかったようですが、父は自分のことが優先で母を置いて外出していました。夫婦で一緒に出かけていたら、母は認知症にならなかったかもしれないと兄と話すこともあります。そんな両親の姿を見ていたら、夫をいたわらなくてはいけないと思う一方、応えてくれない夫にうんざりしている自分もいました」

介護が一段落した頃、「このまま会えなくなるのも寂しいな」と女性はデザイナーの彼を誘い、夜に会う予定を入れました。その日が、この「性とパートナーシップ」の取材日でした。

 女性はインタビューを終えて、デザイナーの彼との待ち合わせ場所に向かう前に、私にこう語りました。

「今夜、彼と会って、成り行きでどうなるかはわからない。待ち合わせのメールを交わしているだけでドキドキしているので、それだけで満足してしまうかもしれません」。夫との関係は冷却中。「私が親の介護に追われていたこともあり、(夫は)ストレスでそれどころではないという感じでした。疲れ果てていて、私が家事や子供たちのことでお願いしても面倒くさそうに答えたり、返事をしなかったりするのを見て、夫に優しくできない自分がいます。そして、私も誰かに優しくされたいという気持ちが強くなっているのです」

 後日、女性はその彼とどうなったかについて、メールで報告してくれました。

 「結論から言うと、握手して午後9時前にはさよならしました」

 時間通りに待ち合わせの場所で会ったものの、会話は続かず、食事は回転寿司。大きな仕事用バッグを持っている女性を気遣うこともなく、一つしかない荷物置きに自分の荷物だけをさっさと置く姿に、「気が利かない人だな」と心が冷めていくのを感じていました。

 「相手から私のことを尋ねることもなく、私ばかり質問をして、なんだかなあという感じでした。『俺らのことは墓場まで持っていこう』とやる気満々の様子を見せられましたが、私は、『その件は、様子見ということで。そもそもなんであのパーティーでそんな話になったのでしたっけ』と話を整理し出す始末でした」

 店を出て、「私にあまり興味ないでしょう? 私のことを全然聞かないし、関心ないのだなと思って……」とはっきり言ってしまうと、「そんなことはない。 詮索(せんさく) したくないから聞かないだけですごく関心ある」と言われました。「どんなところが?」と聞くと、「ルックスが好み」と言ってくれましたが、その言葉も、自分という人間の内面には関心がないのだということを実感させるだけの言葉でした。

 駅まで一緒に歩いて、改札のところで握手して別れました。

 「いっそ誰でもいいから抱かれたいと思っていたところに、降ってわいたようにチャンス到来でしたが、結局は精神的に求められていないとなかなかできないなと実感しました。皮肉なことですが、この一件があって、夫との関係も肉体的というより、精神的に求められていないのが問題かもしれないと気づきました」

 帰宅途中、「やっぱり夫とやろう。マンネリ感、義務感をどう払拭するかが勝負だ」と関係を修復する気持ちが戻ってきましたが、家に帰ると、片づいていないキッチンが目に入り、また日常生活の怒りがこみ上げてきました。

 「もう! 言った通りにしてくれていない!」

 夫と再び愛し合いたいという気持ちは、一瞬で吹き飛んでしまいました。片づけ中、音に気づいた夫が迷惑そうな顔を見せながら、扉を閉め、女性は「ああ、今夜デザイナーに抱かれたら良かったかも」と軽く後悔しました。

 しかし、後日、デザイナーからフェイスブックの友達も解除され、「やはり体だけが目当てだったのだ」と目が覚めました。

 「セックスは好きでしたいのだけれども、気持ちが伴わないと踏み出せない。つまり私は恋愛がしたいのか、マンネリ状態を脱したいのか。ぐるぐると思考が渦巻いて、支離滅裂な状況です。性は生きるということでもありますから、きっと同様に悩んでいる人は多くて、人前では言えないままあきらめていたり、 悶々(もんもん) としていたりするのではないでしょうか?ほかの人はどうやって対処しているのか知りたいです」

 女性の体験談はこれで終わりですが、現在進行形で悩みは続いているようです。皆さんはどのように感じられましたか?

 (終わり)

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25件 のコメント

何だかなぁ

冷めた30代

自分がずっと主人公でいたいだけな人に思えてしまった。人間ある程度年がいったら、愛されたいとか、もらう方ばかり要求するのではなく与える方にシフトし...

自分がずっと主人公でいたいだけな人に思えてしまった。人間ある程度年がいったら、愛されたいとか、もらう方ばかり要求するのではなく与える方にシフトしませんか??
私はもう子供も二人いるし、もともと淡白なのでもはや旦那とどうなりたいとか愛されたいとかは皆無です。ただ子供はかわいいし、母性から彼らに愛情を注いでいますが、母親を慕ってくれる子供からの愛情があるから気持ち的にそこで満たされてます。今は男女の関係なんかに一切興味はなく、旦那すら図体のデカイ子供とカウントしてるので、気持ちが楽です。。この女性は私とは全く違うタイプなので理解しあえないと思いますが、悶々としてる時間がもったいないです。世の中もっと楽しい事いっぱいあるし、男女の恋仲以外に心身ともに満たされることいっぱいありますよ!

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応援しています

アラフォー既婚女性

回転寿司で荷物置き場を占領したあげく、自分の話ばかりする男とのデートからの、片付いていないキッチンに発狂する流れには、思わず笑ってしまいました。...

回転寿司で荷物置き場を占領したあげく、自分の話ばかりする男とのデートからの、片付いていないキッチンに発狂する流れには、思わず笑ってしまいました。
五十歳の女性が、愛されている実感を得るために、ときに空回りしながらも体当たりでチャレンジしていく。可愛いと思います。
私もこの方のように、夫に憎しみと満たされないいろんな欲(笑)をぶつけながら支離滅裂でしたが、結局、他の人と恋愛したりセックスする中で整理がついてきました。
でもそれで正解だったかどうかなんてわかりません。今のところは、自分なりにジタバタしたのは、何もしないで悶々とするよりは良かったかな・・・くらいです。

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よく書けましたね

当事者の家族

>こうやって既婚者の方が中絶する。若い未婚女性より、既婚者が『もう産めない』と中絶する。 『もう産めない』くらいの理由で中絶はできないはずです。...

>こうやって既婚者の方が中絶する。若い未婚女性より、既婚者が『もう産めない』と中絶する。

『もう産めない』くらいの理由で中絶はできないはずです。妊娠を続行するのに相当の理由があるのでその手段を使っています。術を行う医師が刑罰をうける誤解をされるようなことを書かないでください。うちの母も弟の配偶者も産めない理由はそのままだと死がまっていたから医師の許可で術をうけています。コメントを書くなら真剣に書いてください。読んでいてものすごく不快です。

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