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ノドグロ産卵期 脂乗る…島根県大田市

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ノドグロ産卵期 脂乗る…島根県大田市

赤い体が輝くノドグロ。まとまった量が揚がり、船長の中島さんもほっとした表情(島根県沖の日本海で)

 脂が多く、「白身のトロ」として人気が広がっているノドグロ。山陰地方の日本海近海は、ノドグロの産地だ。産卵期を迎え今の時期に脂が乗るノドグロを味わおうと、島根県 大田おおだ 市の底引き網漁に同行した。

 10月中旬の午前1時半すぎ、大田市の 温泉津ゆのつ 漁港から漁師歴50年の中島幸一さん(68)ら漁師5人とともに、底引き網漁の小型漁船に乗り込んだ。3時間ほどで県西部の沖合約50キロの海域に着くと、ロープや網を海中に投下。水深約140メートルに網を下ろした状態で船を走らせ1時間ほど網を引き、空が白み始める頃に巻き上げ機で引き上げた。

 カレイやアナゴ、アンコウなどに交じり、20~30センチの光沢のある赤い魚が約20匹。これがノドグロだ。漁獲量が多い魚ではなく、日や場所次第ではほとんどとれない時もあるという。

 網を引いては引き上げる作業を5回ほど繰り返し、夕方に帰港。この日揚がったノドグロは25キロほど。中島さんは「島根のノドグロは脂の乗りがよいと言われ、人気が高い。ただ、水揚げ量はまちまちで、今日はまとまった量がとれた」と話す。漁期は9月から翌年5月までで、今季はやや少なめという。

 ノドグロは水深100~200メートルの海底に生息し、日本海や太平洋で広くとれる。和名をアカムツといい、口の中から喉にかけて黒いことから、山陰地方ではノドグロと呼ばれる。大陸棚が広がる山陰沖は、全国有数の産地だ。島根県水産技術センターによると、昨年の県の漁獲量は318トン。

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ノドグロの塩焼き(手前)と煮付け(奥)、刺し身(島根県大田市の水明館で)

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 大田市は古くから小型船による底引き網漁が盛ん。近海で朝から漁をして夕方に帰港する「一日漁」と呼ばれる、伝統的な漁を行っている。一日漁は鮮度が特徴だ。魚はその日の夜の「晩市」で競りにかけ、関西などの消費地にいち早く届ける。

 一日漁をPRする地元の水産物加工販売、岡富商店の岡田明久さんは「一日漁のノドグロは新鮮なので、見た目もよい一夜干しができる」と話す。晩市で買い付けると、翌朝すぐに開きにして塩水に1日漬け、翌日、冷風乾燥機に数時間入れた後、冷凍する。でき上がった一夜干しは、赤い皮が色鮮やかだ。

 海鮮料理店を営む「水明館」で、ノドグロを味わった。塩焼きはみずみずしく、煮付けはしっとり。身が軟らかく、上品な甘みと脂のうまみがいい。刺し身はコクがあり、深みのある味わいだ。

 「赤い宝石」と呼ばれる高級魚ノドグロを追った一日漁。波に揺られ疲れた体に、海の豊かな味わいが染みいった。

  メモ  岡富商店の岡田さんによると、鮮魚は塩焼きがお薦め。塩を振って、魚焼きグリルで皮を焦がさないように弱火か中火で焼く。脂の乗った魚そのものの魅力が楽しめるという。

 一夜干し(冷凍)は身が軟らかいので解凍せず、そのまま弱火で焼く。片面ずつ焼く場合は身が崩れないよう、皮側から焼くとよい。

 ノドグロはインターネットでも販売している。岡富商店では、ホームページ( http://www.rakuten.co.jp/okatomi/ )で、鮮魚(1尾約200グラム、1598円税込み)などを扱う。大田市のいずもや( http://izumoya.ocnk.net/ )でも一夜干し(中1枚冷凍、1400~1600円税抜き)を扱う。

 (小野仁)

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