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あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

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人間ドック「異常なし」が過去最低の5.6%

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日本人間ドック学会が発表

人間ドック「異常なし」が過去最低の5.6%

 いつまでも健康でいたい―だれもがそう願っているだろう。人間ドックは、体の調子が悪くなくても定期的に詳しい検査を行い、自覚症状のない病気や体の異常などを早期に発見し、治療や予防につなげることを目的としている。そんな人間ドックを受けた人のうち、身体計測や血圧、血液検査など基本検査の全項目で異常がなかった人の割合が5.6%と、前年に比べて1.0ポイント低下し、過去最低を記録したという。日本人間ドック学会が、公式サイトに公開した2015年「人間ドックの現況」によるものだ。同学会・人間ドック健診統計調査委員会委員長で牧田総合病院人間ドック健診センター院長の笹森斉医師に話を聞いた。

人間ドック総受診者316万人、若年世代は減少

 人間ドック全国集計成績報告は、アンケートを送付した719施設のうち回答の得られた644施設(回収率89.6%)での、2015年1月1日~12月31日の健診実施状況についてまとめたものだ。

 2015年の人間ドック総受診者数は、2日ドックと1日ドックを合わせ、合計316万2,817人。2014年に比べて約3万人増加した。そのうち、基本検査の全項目において軽度異常を含めた異常なし(判定A+B)と判定されたのは17万5,675人で、全体の5.6%(男性4.7%、女性6.8%)だった。全項目異常なしの割合は近年減少傾向が続いており、前回の2014年の6.6%から1.0ポイント減少し、過去最低となった(図1)。

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 笹森医師は「受診者数は40歳未満が38万人、60歳以上が79万人と、ほぼ2倍の開きがあった。全項目異常なしの割合が減少傾向にある背景として、高齢者の増加と受診者の平均年齢の上昇が考えられる」と話す。

 60歳以上の受診者が増加し続けているのに対し、40歳未満は2007年前後を境に減少している。その理由としては、60歳以上が自費で受診したり、企業が再雇用などで60歳以上の人にも受診させたりするケースが増えていること、健保の財政事情の悪化により40歳未満の人間ドックを健康診断に簡略化したことなどが考えられるという。

 生活習慣病関連項目では、肥満、糖尿病予備軍とされる耐糖能異常、高血圧、高コレステロール、高中性脂肪、肝機能異常の6項目うち、高コレステロール、高中性脂肪、肝機能異常の3項目で、異常となる頻度が前年と比べて下がった。高コレステロールは50歳未満で、高中性脂肪と肝機能異常は全年齢層で改善していた。

 この結果について、笹森医師は「2014年の報告で、前年より改善が見られたのは、中性脂肪の1項目だけだった。健康意識の高まりに伴う生活習慣の改善が、今回のデータに表れたのではないか」と分析する。

今後は年齢層によって検査内容の差別化も

 人間ドックで発見された主な臓器別がん患者は、男性は胃がんが最も多く、次いで大腸がん、前立腺がん、肺がん、食道がん、腎がんの順で、胃がん、大腸がんでは60歳以上の人がそれぞれ68.7%、53.6%だった(図2)。

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 女性では乳がんが最も多く、次いで大腸がん、胃がん、子宮がん、肺がんの順で、乳がんと子宮がんは50歳未満がそれぞれ39.2%、59.3%だった(図3)。

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 笹森医師は「子宮がんと乳がんは他のがんと比べて若年層に多いことから、全年齢に検診を行う必要がある」としている。

 人間ドックでは、基本検査の項目は年齢によらず一律に実施しているが、高齢者には負担の大きな検査もある。笹森医師は「全ての項目を必須とせず、年齢層によって検査内容を差別化し、結果をもとにした指導に重点を置いた『シニアドック』も必要になってくるかもしれない」との考えを示した。骨密度やロコモティブシンドロームに関連した整形外科領域の検査なども、選択肢として考えられるという。

 これらを踏まえて、笹森医師は「現代の医療は、治療と同様に予防が非常に重要であり、そのような観点から人間ドック受診者の健康推進を図りたい」とし、「学会としても人間ドックを受けた後の事後指導を重要視しており、少しずつ生活習慣の改善が積み重なり、異常なしの割合の下落にブレーキがかかることを期待したい」と総括した。

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kenkohyakka

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