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からだコラム

[栄養で治す]「食事」が腸内環境整える

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 日本の医療費は年間40兆円を超え、毎年、過去最高を更新しています。高齢化で患者は増える一方、少子化で納税者は減ります。

 厚生労働省が高齢患者の医療費負担の増額を検討するとの報道もありました。しかし、本当に医療費が適切に使われているのかは検証する必要があります。

 栄養は、問題が多い領域の一つだと思います。多くの患者は入院当初、食事を提供されず、代わりにほとんど栄養素がない点滴を投与されます。元来、点滴は水分や電解質を補給するために開発されたもので、栄養素が足りないのは仕方がないことです。抗生物質などの薬剤を投与するケースが多く、腸内が空っぽの状態で投与すると、健康のために必要な腸内細菌が減り、逆に健康を害する悪い細菌が繁殖してきます。

 食べ物の栄養素の多くを吸収する小腸は、「身体の免疫の要」の臓器でもありますが、悪い細菌が増えれば全身の免疫力の低下につながります。また大腸内で悪い細菌が繁殖すると、細菌が出す毒素が体内に吸収されて重篤な疾患を発症することがあります。このメカニズムは私の留学時の研究テーマでありました。

 入院患者に食事の摂取を認めるかどうかは医師の裁量に任されていますが、医学部6年間の教育の中で、栄養学の授業はわずか数時間というのが現状です。

 点滴による腸内環境の悪化を防ぐ唯一の方法は「食事をする」ことです。

 食べることは単に空腹感を満たすことではなく、生命維持に必要な多くの栄養素を摂取し、エネルギーを得ることです。人間はこれを毎日、何十年間も続けてゆくのです。人間の身体は「小宇宙」にたとえられるほど壮大で、かつ繊細な仕組みで生命が維持されているのですが、その源が栄養なのです。

 (宮沢靖・近森病院臨床栄養部長、管理栄養士)

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