虹色百話~性的マイノリティーへの招待
医療・健康・介護のコラム
第58話 同性カップルは税の優遇制度の適用外…生命保険や住宅ローンなど
また、保険金の支払い(つまり本人の死亡)はまだまだ先だとしても、毎年の確定申告や年末調整で、「生命保険料控除」はおなじみでしょう。保険料を払っている場合、5万円が所得から控除され、その分(わずかですが)税金が安くなる仕組みです。
ただし、これも非相続人が受取人の保険は対象外です。パートナーを受取人にする保険の保険料を払っていても、生命保険料控除は申請できないというわけです。
家族の多様性に配慮し、同性パートナーも受取人に指定できようになったのはいいことですが、税法がまだ追いつかず、生命保険に入っても意外に税金がかかる場合があることは、あらかじめ知っておく必要があるでしょう。
もちろん、自分がいま死ぬと、小さな子どもが残され、相手もすぐ生活に困るというようなことがなければ、そもそも生命保険に入る必要性は小さいかもしれません。
本人転勤・パートナー居住で住宅ローン減税は?
マンションなどを買い、同性パートナーと同居している場合も、いささか悩ましい問題はあります。
同性カップルは夫婦で借りるローンの適用外なので、どちらか一人の名義でローンを組み、一人の名義で登記をするのが常です。登記に現れないパートナーは、たとえばローンの半額を家庭内で相手に渡していた場合、さてこのお金はなんなのでしょうか? 贈与なのでしょうか。家賃なのでしょうか。
贈与なら、受け取ったほうが年額110万円を超えるときは贈与税の申告が必要となり、家賃なら「大家さん」として受け取ったことになるので「不動産所得」を確定申告することになるのでしょうか?
これが夫婦なら、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」(民法760条)で、住宅費用を出し合うのはむしろ当然というものでしょうが……。
さらに悩ましいのは、同性カップルの一方が転勤などで家を空ける場合です。
住宅ローン減税は、住宅を購入して10年間、ローンの残高の1%を税金から控除してもらえる制度です(購入年によって上限額に違いがあります)。最大で年40万、10年で400万円も税金を負けてもらえるのは、大きな特典です。
さて、転勤などで所有者がそこに住まなくなると、住宅ローン減税は適用されない規定です。しかし、家族がそのまま居住しているなら減税は継続します。この家族には同性パートナーは含まれないので、せっかくの住宅ローン減税が使えないことになります。
(なお、海外転勤する場合は、家族が住んでいても本人が国内非居住者となり、住宅ローン減税は受けることができません。その点では同性/異性にかわりないといえます。)
ついでに言うと、所有者が亡くなって、パートナーにちゃんと遺言で不動産を渡したときにも、不公平があります。
亡くなった人が住んでいた家の土地の評価は、その後も親族が住み続ける場合、現在、330平方メートルまでが評価額(路線価)の80%減で評価してもらえます(小規模宅地等の特例)。しかし、この親族には同性パートナーは含まれないので、前節の生命保険と同様、評価額まるまるが課税対象になります。
そもそも法律上の配偶者は、最低でも相続額1億6000万円まで、相続税はかからないことになっています。配偶者となんら変わることがないのに、同性だというだけでこの対象にならないのは、なんとも不平等です。
配偶者が同性の人もいるし、異性の人もいる。ただそのシンプルな事実を踏まえて、全国民にかかわるような税制をはじめとする立法はされないものでしょうか。またしても法の下の平等という言葉が脳裏をかすめる私でした。
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つまり結婚をするというのは、パートナー資格を得るということ。単に愛の証ではないということですね。 ただフェミニストがいうには、これは女性が経済的...
つまり結婚をするというのは、パートナー資格を得るということ。単に愛の証ではないということですね。
ただフェミニストがいうには、これは女性が経済的に不利にあった時代の名残だと。
結婚制度自体、良し悪しがあります。嫌なのは離婚の慰謝料や財産分与ですね。
同じことを同性カップルがしなければならないのはどうかと。
また、二人だけでなく二号さんとか、それ以外はどうなるなんていわれればキリがありません。
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