文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

虹色百話~性的マイノリティーへの招待

コラム

第58話 同性カップルは税の優遇制度の適用外…生命保険や住宅ローンなど

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

「○○万円の壁」流行りだが同性カップルには無縁

同性カップルは税の優遇制度の適用外…生命保険や住宅ローンなど

 このところ103万円の壁とか130万円の壁、最近は106万円の壁など、配偶者の税金や社会保険料にかかわる話題が報じられています。くわしい説明は省きますが、本人の年収が103万円以下の収入の場合、所得税がかからず、パートナーは配偶者控除も受けられます。130万円以下の年収ならパートナーの被扶養者として、健康保険料や年金保険料も配偶者の社会保険でカバーしてもらえる制度です(逆にそれを超えると、所得税や社会保険料を給与から源泉徴収されます)。社会保険に加入する対象が10月1日から、従業員501人以上の企業で、週20時間以上働く方(年収に換算すると約106万円以上)などに広がりました。

 日本には同性婚の制度がありませんから、同性カップルの場合、いくら一方の収入が乏しくても、男女間でなら適用されるこのような制度の対象になりません。所得税は法的な婚姻夫婦に限りますが、社会保険の被扶養者は事実婚でも適用になります(健康保険法などには配偶者の説明に「届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」とあります)。同性パートナーが社会保険の被扶養者に含まれるのかどうかは、まだだれも裁判などで確かめたことはありません。

 ただ、男女の夫婦でも共稼ぎでそれぞれが130万円以上稼いでいるなら、これらの壁は関係ありません。私自身は、パートナーのそれぞれが労働し、それを通じて社会参加し、自己の所得を得て、納税するという「自立」した姿勢をまずは基本とし、障害その他で個人が収入を得られない場合は、配偶者のサポートではなく、その人に直接、公的補助をつけるのが筋ではないかと考えています。カップル単位・世帯単位の制度設計ではなく、シングル単位の制度設計といわれるもののほうがいいかな、というわけです。

 とはいえ、最近のニュースや相談のなかで、同性カップル間では税金上、優遇されないのだなあと思うことがありましたので、ここでご紹介したいと思います。

生命保険に入れても保険金の課税は不公平

 

 一部を除き生命保険はながらく「配偶者もしくは2親等以内の血族」を受取人にしなければ契約を引き受けてもらえない状態が続き、同性パートナーを受取人にすることはできませんでした。これらは法の規制ではなく、たんに保険会社の内規にすぎません。

 しかし、昨年来、同性パートナーを受取人にできる保険が増えてきました。そのさい、自治体の証明書をその要件とする会社もあれば、会社指定の文書を入れることで可能とする会社もあります。

 これまで保険から除外されていた同性カップルが、保険もライフプランニングの選択肢のなかに入れることができるようになったのは、大きな進歩だといえるでしょう。

 ただし、生命保険金を親族が受け取る場合と、非親族(同性パートナーはこちら)が受け取る場合とでは、税率が違う点には注意が必要です。

 死亡保険金は「見なし相続財産」とされ、相続税などの計算の際、他の不動産や預貯金とともに相続財産に繰り入れられ、課税の対象になります。しかし、死亡保険金は「残された家族の生活保障」という目的を持っていますので、「500万円×法定相続人の人数」が非課税分として控除されます。1000万円の保険金が下りても法定相続人が2人いれば、評価額はゼロとなるわけです。

 しかし、この非課税枠が適用されるのは、相続人(法律上の配偶者や親・子)が受け取る場合のみ。同性パートナーを受取人に指定はできても、いざ受け取るときは税金の優遇はないのです。死亡保険金がまるまるが評価の対象となり、他の不動産などとあわせると基礎控除額をオーバーして相続税がかかる場合が出るかもしれません。

 しかも、相続税は実際に相続財産を受け取った人で、受け取った財産額に応じて案分して払うわけですが、相続人でない人が相続税を払う場合は、算出された税額に2割が加算されるおまけつき。それだけ相続人が「残された家族」ということで優遇されているわけですが、同性パートナーだって「残された家族」には変わりないはずです。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

永易写真400

永易至文(ながやす・しぶん)

1966年、愛媛県生まれ。東京大学文学部(中国文学科)卒。人文・教育書系の出版社を経て2001年からフリーランス。ゲイコミュニティーの活動に参加する一方、ライターとしてゲイの老後やHIV陽性者の問題をテーマとする。2013年、行政書士の資格を取得、性的マイノリティサポートに強い東中野さくら行政書士事務所を開設。同年、特定非営利活動法人パープル・ハンズ設立、事務局長就任。著書に『ふたりで安心して最後まで暮らすための本』『にじ色ライフプランニング入門』『同性パートナー生活読本』など。

虹色百話~性的マイノリティーへの招待の一覧を見る

1件 のコメント

アメリカでは結婚をライセンスという

カイカタ

つまり結婚をするというのは、パートナー資格を得るということ。単に愛の証ではないということですね。 ただフェミニストがいうには、これは女性が経済的...

つまり結婚をするというのは、パートナー資格を得るということ。単に愛の証ではないということですね。

ただフェミニストがいうには、これは女性が経済的に不利にあった時代の名残だと。

結婚制度自体、良し悪しがあります。嫌なのは離婚の慰謝料や財産分与ですね。

同じことを同性カップルがしなければならないのはどうかと。

また、二人だけでなく二号さんとか、それ以外はどうなるなんていわれればキリがありません。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

最新記事