文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

トンデモ情報の寄せ集め? コラムサイトにご用心

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
NHKのスタジオパークにて。そろそろテレビに興味を持ち始めました

NHKのスタジオパークにて。そろそろテレビに興味を持ち始めました

 10月になり、ようやく長袖を着る日が出てきました。生後10か月の息子は毎日食べまくりです。上の子は食べずに苦労しましたが、食べる子というのは本当にすごいですね。全く調味料を使わなくてもがつがつ食べるので、調理が簡単です。上の子の時も薄味を心がけていましたが、 出汁(だし) の味くらいはないと食べてくれなかったので、息子には驚かされます。

 そんな息子はほとんど卒乳してしまいました。私のおっぱいは、息子が求める量も勢いも提供できなくなり、吸わせようとしても「イヤじゃー」と言わんばかりの拒否ぶりです。乳房への愛着や執着は全くなく、このまま卒乳になりそうです。上の子はおっぱいへの執着がすごく、3歳まで授乳していたので、まるで肩すかしにあったような感じですが、これで眠っていた洋服たちを稼働できるので喜びもあります。

追いつかないモグラ叩き

 今年の8月に、こちらで「 インターネットの医療情報は玉石混交 」という記事を書きましたが、その後も内容の怪しいコラムサイトの増殖は止まりません。少し前までは、患者さんやママたちが大手検索サイトにキーワードを入れて妊娠や育児の情報を得ようとすると、「知恵袋」のような質問に匿名の回答がつくサイトが上の方に表示されていましたが、今はコラムサイトの記事が検索の上位をザーッと占めています。

 コラムサイトはもっともらしい作りになっていますが、執筆に対する対価はすごく安いです。一つ書いて数十円から数百円という低価格のため、調べるために専門家に取材したり書籍を買って調べたりする経費は捻出できませんから、質の高さは望めません。実際、出典を明示しているコラムを見ても、別の似たようなコラムサイトが出典だったり、ひどい時にはサプリメントや健康グッズの通販サイトのうたい文句が出典だったりします。

 たまにひどい内容のものを見かけると、モグラ (たた) きのようにコラムサイトや転載先に抗議していたのですが、最近はモグラ叩きに参加してくださる人が増えて (うれ) しく思っています。

 しかし、サイト側は「あくまでも考え方の一つで間違った情報は流していない」と、医学的に明らかに誤っていることを個人の見解として押し通そうとします。非常に大きな多角的企業が運営するサイトでも、「恐れ入りますが、当サイトはユーザーの皆様に記事を作成・投稿していただいているまとめ情報サイトです。投稿内容の決定やピックアップなどは各ユーザーの皆様のご判断でおこなっていただいているため、投稿されている内容についての詳細なご案内はいたしかねます」と平然と記事の内容には責任を負わないと言い放っており、ごまかすことが危機管理なのかと 唖然(あぜん) とさせられることばかりです。

悪貨が良貨を駆逐しないように

 コラムサイトの質が向上してくれればいいのですが、執筆も編集も一朝一夕に改善できるような仕事ではないので、すぐには難しいです。今の仕組みでは読者の方で選別する以外に方法がないのが現状ですが、原稿を様々なサイトから寄せ集めている「キュレーションサイト」やコラムの運営会社も大手だと特に信用に関わるということを企業側に理解していただきたいです。

 私も可能な限り情報を発信したり、企業にアプローチしたりしようと思います。また、小児科医の森戸やすみ先生とご相談にお答えする オンラインサロン も開いていますので、真偽不明の情報に悩んでいる方はぜひ (のぞ) いてみてください。

 こういったコラムサイトのようなビジネスモデルが長く続かないことを祈りますが、本当に悪貨は良貨を駆逐するという事態にならないよう、引き続き頑張りたいと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

son_n_400

宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

宋美玄のママライフ実況中継の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事