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虹色百話~性的マイノリティーへの招待

医療・健康・介護のコラム

第57話 臨時国会開幕、LGBT立法の議論はされるのか?

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臨時国会開幕、LGBT立法の議論はされるのか?

 9月26日、秋の臨時国会が始まりました。TPP、アベノミクス加速、さては天皇の生前退位など、さまざまな論点が報じられています。

 そのなかで性的マイノリティー当事者の一人としては、国会でLGBT立法の議論がされるのかにも注目しています。

 さきの参院選では自民党を含めて、多くの政党や候補者がいわゆるLGBT政策に言及していました(さまざまな団体がアンケートを実施したことにもよります)。  

参考: http://lgbtetc.jp/news/387/

 この国会では、その「公約」に対する実行が迫られています。また、ここに至るまでに性的マイノリティーと政治や立法をめぐるいろいろな動きがあり、私も、そろそろ「まとめ」の時期では、と思っています。

LGBT立法をめぐる政党・議連の動き

 

 LGBTと政治をめぐっては、職業としてロビイストがブルドーザー的に仕掛けるアメリカなどと違い、2010年以後、いくつかの団体がたまたまご縁のあった議員に話を聞いてもらう程度のロビー活動を、ボランティア的に続けてきました。テーマは、同性婚・同性パートナーシップの実現、子ども・若者への配慮、自殺対策といったところです。何とか「LGBTフレンドリー」な議員を“開拓”し、国会で質問してくれた議員もいました。

 そこへ2015年初頭からの同性パートナーシップ旋風が巻き起こります。LGBTが社会の問題として注目されるという追い風のなか、3月に超党派の国会議員によるLGBTの議員連盟が発足しました。初会合には29名が参加しました。コアになったのは、これまでのロビー活動を通じて働きかけてきた議員たちです。

 LGBT当事者側も4月に、ロビー活動してきた団体が代表団体となって「性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会」(通称:LGBT法連合会  http://lgbtetc.jp )を設立し、活動の一本化を図り、全国から募った賛同団体に支えられ、活動をスタートさせました。

 年が明け、16年1月にはLGBT議連で立法検討ワーキングチームが設置され、性的指向や性自認にかかわる何らかの法整備へ向けての動きが見えてきます。

 ところが2月、自民党が稲田朋美・政務調査会長(当時)の指示により、古屋圭司衆議院議員を委員長とする「性的指向・性自認に関する特命委員会」を設置。早くも4月27日に「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」などをまとめ、公表します。

参考: https://www.jimin.jp/news/policy/132172.html

https://www.jimin.jp/news/policy/132489.html

 そして、現行法のもとでも取り組みが可能な33項目をまとめ、与党として政府へ要望を伝えました。また、社会への理解の増進を目的とした理念法(いわゆる「理解増進法」)を制定することが掲げられました。

 ただ、同性婚については、これは現憲法下では想定されておらず、地方自治体のパートナーシップ制度も今後、慎重な検討が必要としています。

 こうした自民党単独の動きをまえに、LGBT議連による超党派での立法への取り組みは一頓挫しました。1か月後の5月27日、民進党、日本共産党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたちは、「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」(いわゆる「差別解消法」)を幕切れ直前の国会に提出するに至りました。

 その後、夏の参議院選挙を経て、いま、臨時国会が開幕したというところです。

 自民党の「理解増進法」と民進党を軸とする「差別解消法」の対決か、と思われますが、自民党の「理解増進法」はまだ法案として発表されていません。4月に考え方こそまとめたものの、一部に「LGBT法案 難航 自民 党内から異論」(東京新聞2016年8月23日付朝刊)という報道もあり、今後の成り行きに注目しているところです。

自民党もLGBTに関心を示し始めたが…

 

 一ゲイであり、一観察者でしかない私の目には、事態はいろいろ不可解であり、法律の制定を願う身からは心配なことでもあります。

 人権にかかわる法制は、個人的には、内閣提案ではなく議員提案で審議され、できれば全会一致で成立するのが「美し」く、LGBT議連を舞台に超党派でそうした作業が進むのかと思っておりました。それだけに、2月に自民党が特命委を設置したときには少し驚きました。

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永易写真400

永易至文(ながやす・しぶん)

1966年、愛媛県生まれ。東京大学文学部(中国文学科)卒。人文・教育書系の出版社を経て2001年からフリーランス。ゲイコミュニティーの活動に参加する一方、ライターとしてゲイの老後やHIV陽性者の問題をテーマとする。2013年、行政書士の資格を取得、性的マイノリティサポートに強い東中野さくら行政書士事務所を開設。同年、特定非営利活動法人パープル・ハンズ設立、事務局長就任。著書に『ふたりで安心して最後まで暮らすための本』『にじ色ライフプランニング入門』『同性パートナー生活読本』など。

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1件 のコメント

選べないという意味では人種や性別と同じ

カイカタ

生まれつきであれ、後天的なものであれ、本人の意志で好き好んでなったものではないという意味では、黒人や白人に生まれたこと、女性や男性に生まれたこと...

生まれつきであれ、後天的なものであれ、本人の意志で好き好んでなったものではないという意味では、黒人や白人に生まれたこと、女性や男性に生まれたことと同じです。

たかが好みの問題といいますが、そこに社会では認められないものがあり、また、当事者にとっては、結婚などの人生の様々な節目に関わっていくことになるのなら、そこには法的かつ社会的な支援が必要でしょう。

どうも趣味やエロスの問題のように捉えられているようですが、当事者からすれば全く次元が違います。

大半の同性愛者は、セックスだけか短期の関係を繰り返し生涯独身で終わるのは、それがそういう性質だからというだけでなく、異性カップルのような結婚に値する制度がない、その前に社会的な認知がないことが要因として大きいのかもしれません。

異性愛者の人で同性婚に賛同する人がいうのは、少数であれ、より多くの人が幸せになれる社会になることがすばらしいと思う、です。

少子化を心配する人が多いと思いますが、フランスやアメリカのように同性婚を認めた国の方が、日本より出生率が高いという事実もあります。そういう寛容な社会ほど、子供を産みやすいのかもしれませんね。個人が最大限尊重される社会ほど、人は社会に対する忠誠度は高くなると思うのですが。

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