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最低賃金アップ、どういうこと?
収入増、消費拡大も期待


最低賃金アップ
どういうこと?
求人広告を見たことはあるかな? 会社が仕事内容や労働時間などを示し、働く人を募集するんだけど、そこにも書かれている「賃金」については、国が下限の額を定めているんだ。
もちろん、民間企業の賃金は、雇い主と労働者の間で決めるのが原則だ。でも、雇う側が条件を有利に決めることもできてしまう。例えば、少ない働き手を他社と奪い合っていた頃は時給1000円だったのに、景気が悪くなったら時給500円に下げるというのでは、働く人の生活は安定しないよね。
そこで、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低額を定めているんだ。各都道府県で1時間当たり何円と決められていて、雇い主はその額以上を払わなければならない。正社員だけでなくパートやアルバイトなど全ての労働者に適用される。
金額は、大学教授や労働者、経営者の代表からなる厚生労働省の審議会が、毎年、改定の目安を示す。各都道府県の審議会は、目安に従い、地域の生活コストや企業の賃金支払い能力などを考慮して決めるんだ。
政府は6月、最低賃金を毎年3%程度引き上げていき、全国平均で1000円にする目標を閣議決定した。このため、10月の改定で、全国平均は3・1%アップの823円となった。ただ、東京都や神奈川県は930円台なのに対し、710円台という県も多い。
最低賃金に近い水準で働く人は300万~500万人程度とされる。最低賃金が上がれば、働く人全体の収入増も期待できるから、消費に回るお金の増加を通じて景気に良い影響を与えると考えられている。でも、あまり大幅に引き上げると人件費負担で小さな会社の経営が悪化し、雇用が減ってしまう心配もあるんだ。
アルバイトをする時は、最低賃金を上回っているかどうかチェックしてみよう。バイト代が日給なら1日の労働時間で割って計算する。最低賃金を守らない会社や雇い主には罰金も定められていて、書類送検される事例もある。おかしいなと思ったら、近くの労働基準監督署などに相談しよう。(滝沢康弘)
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