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医療部長・山口博弥の「健康になりたきゃ武道を習え!」

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二日酔いにもヨガは効果あり?

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 正直に言うと、稽古を初めて見学した時、練習時間の半分を裏の捌きに使っていることに対し、こう思いました。「せっかく道場生が集まっているのだから、家で一人でもできる健康法にあまり時間を使わず、相手と組んで行う護身の技術の練習にもっと時間を割いた方がいいのでは?」と。

 しかし、入門して稽古を続けるうちに、考えが変わりました。

 そりゃあ、動きさえ覚えてしまえば、裏の捌きは家で一人でもできます。

 でも、一人だとまずやらないんですね。

 朝早く家を出て、へとへとになって夜遅く帰ってくるサラリーマンにとって、平日に50分も時間は割けません。まあ、仕事ばかりやってるわけではなく、付き合いの飲み会もありますが、それはそれで疲弊する。二日酔いにもなります。休日は、(日曜日の稽古以外)寝だめして、だらだらして過ごしたい。買い物に行ったり、レンタルした映画のブルーレイを見たりもしたい。

 もちろん、意志が弱いことの言い訳だということはよく分かっています。でも、家で一人で裏の捌きができない、というか、しない現実は簡単には変えられません。時々、その一部を抜粋してやることはあるにしても、合計50分以上の裏の捌きを自宅で行うことはまずありません。

 心体育道という武道が、暴力からの護身と病気からの護身という二つの要素から成り立っている以上、週に1、2回の稽古の時に裏の捌きをきちんと行うのは、至極、当然のことなのだ――と思い直したわけです。

 裏の捌きには、思わぬ効用もあります。

 毎年恒例の夏合宿では、夜は何時間も飲み続けます。

 当然、翌朝に二日酔いとまではいかなくても、アルコールが抜けきれないことがよくあります。

 そんな時は、「う~ん、練習したくないなあ」と、気分が乗らないのですが、稽古の最初に裏の捌きを30~40分ほどやると、すっきりして、やる気がわいてくるのです。もしかしたら、リズミカルな深い呼吸のおかげで、セロトニンが分泌されるせいなのかもしれません。

 こうした副産物のような効用はともかく、ほかの武道を修行している人でも、ヨガはお勧めです。柔軟性は身に付くし、以前書いたように、「マインドフルネス」を養うことで武道的な心身も鍛えられるからです。

武道的な稽古後に行うヨガの動き。深い呼吸に合わせて、ゆっくりと体を動かします。心体育道の裏の捌きでは、ポーズ(ヨガではアーサナと呼ぶ)の名前は特に言いませんが、ヨガでは一般的に鋤(すき)のポーズと呼ばれます。

武道的な稽古後に行うヨガの動き。深い呼吸に合わせて、ゆっくりと体を動かします。心体育道の裏の捌きでは、ポーズ(ヨガではアーサナと呼ぶ)の名前は特に言いませんが、ヨガでは一般的に「(すき)のポーズ」と呼ばれます。
鋤のポーズの後に、肩だけでまっすぐ立って足を天井に向けます(左の黒帯はやや斜めになっていますね)。「肩立ち」と呼んでいます。

鋤のポーズの後に、肩だけでまっすぐ立って足を天井に向けます(左の黒帯はやや斜めになっていますね)。「肩立ち」と呼んでいます。
脚を組み、息を鼻で吐きながら上体をひねる。

脚を組み、息を鼻で吐きながら上体をひねる。
開脚しての前屈。左右の方向への前屈も行います。

開脚しての前屈。左右の方向への前屈も行います。
心体育道では、先生が「脱力!」と言うと、道場生はこのポーズになって呼吸を整えます。表の捌きの時は、武道的な稽古で乱れた呼吸を静め、裏の捌きの時は、呼吸や重力を繊細に感じるようにしています。ヨガでは「しかばねのポーズ」と呼ばれます。

心体育道では、先生が「脱力!」と言うと、道場生はこのポーズになって呼吸を整えます。表の捌きの時は、武道的な稽古で乱れた呼吸を静め、裏の捌きの時は、呼吸や重力を繊細に感じるようにしています。ヨガでは「しかばねのポーズ」と呼ばれます。

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山口 博弥(やまぐち・ひろや) 読売新聞東京本社医療部長

 1962年福岡市出身。1987年読売新聞社入社。岐阜支局、地方部内信課、社会部、富山支局、医療部、同部次長、盛岡支局長を経て、2016年4月から現職。医療部では胃がん、小児医療、精神医療、痛み治療、高齢者の健康法などを取材。趣味は武道と瞑想めいそう。飲み歩くことが増え、健康診断を受けるのが少し怖い今日このごろです。

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