在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活
医療・健康・介護のコラム
「ダイエットにおすすめの食品」とは?
管理栄養士をしていると、「食と栄養」に関する質問をよく受けます。
例えば、介護予防教室では「寝たきりにならない食事は?」と聞かれることが多いです。「寝たきり」と言っても、その原因はさまざまであり、すべてが食事に関係しているとは限りません。このお話はまた別の機会で取り上げたいと思います。
お受けする質問の中でも困るのは、「がんにならない食べ物は?」「認知症にならない食べ物は?」などの「○○にならない食べ物」です。はっきり申し上げますが、そのような「魔法の食べ物」はありません。大切なのは、「日々の食生活の積み重ね」であり、だからこそ難しいのかもしれません。
ダイエットも同じです。ダイエットをしたことがある人は、「何を食べたら痩せるのかな?」と一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
今回は、ずばり「ダイエット中の方にすすめたい食材」がテーマです。
これまで、りんごやバナナばかりを集中的に食べるなど、国内外で様々なダイエット方法が出ては消えていきました。中には医療的・栄養学的な根拠が希薄で、かえって健康被害をもたらすものまであり、管理栄養士としてはおすすめできないダイエット法がほとんどでした。
ダイエット食のポイントは、「少ないエネルギー量でも満腹に感じること」ではないでしょうか。そのためにぜひ活用していただきたいのは、海藻、きのこ、豆、それに魚介類です。
日本にはさまざまな種類の海藻やきのこが豊富にありますが、1週間にどれだけ食べていますか?
「そういえば、ほとんど食べていないなぁ」「定食の 味噌 汁にちょっとわかめが入っていたかも?」という方が多いのではないでしょうか。
我が家では、最低でも一日1回は海藻かきのこを使うように心掛けています。「メイン料理」よりも名脇役といった食材で。味噌汁の具にはもちろんですが、サラダやお浸しなどに加えても良いでしょう。
「食品成分表」を開いてみると、海藻のエネルギー量は100gで10kcal前後です。きのこ類は12~20kcal程度です。1回の食事で海藻やきのこを100g以上も食べることはありませんので、エネルギー量はほとんど気にしなくても大丈夫です。ただし、注意していただきたいのは、料理をする際に、たっぷりのきのこを「たっぷりの油」で 炒 めてしまっては、結局、エネルギー量が増大してしまうことです。蒸したり、茹でたり、がおすすめです。
次におすすめなのは「豆類」です。もちろん豆腐や豆腐関連食品(油揚げやがんもどきなど)を含みます。豆腐を上手に献立に加えることによって、日々の摂取エネルギー量を少なくする技もあります。
例えば、「キャベツと豚バラ肉(100g)の味噌炒め」を、豚バラ肉の代わりに生揚げ(同量)を使うことで、約250kcalものエネルギーをカットすることができます。これはごはん茶 碗 1膳(150g)のエネルギー量に相当します。でも、ここで豚バラから生揚げに変えたからといって、ごはん1膳よけいにおかわりしてしまっては元も子もありませんよ。
最後にご紹介するのは「魚介類」です。中でも、エビ、カニ、イカ、タコ、貝が特におすすめです。先ほどの「キャベツと豚バラ肉のみそ炒め」の豚バラを、アサリに変えてみたとしましょう。なんと、約360kcalものエネルギーカットになります。スルメイカならマイナス300kcalです。
いかがですか? 魚介類はダイエットに活用できる食材ですね。魚介類に含まれるコレステロールを気にする方もいらっしゃるかもしれませんが、食事からの摂取は、直接血液中のコレステロールの値に反映されるわけではありません。このお話も、別の機会で詳しくご紹介したいと思います。
さて、豚バラ肉が悪者のように書いてきてしまいましたが、主人は、肉の中でもとにかく豚バラ肉が大好きです。しゃぶしゃぶでも肉野菜炒めでも肉じゃがでも、とにかく豚バラを使ってほしいという「三枚肉至上主義」で困っています。
しかも、肉の脂には「血液をドロドロにする脂(飽和脂肪酸)」が多く含まれているため、あまり使いたくないのが正直なところです。
しかし、豚バラ肉を使わない食生活は、やはり夫婦の関係に影響があります。肉料理の日、魚介料理の日、または豆腐料理の日など、上手にバランスを取りながら、夫婦仲良くゆるっと健康な食生活を送りたいものです。
参考文献:
日本人の食事摂取基準2015 第一出版
七訂 食品成分表 2016 女子栄養大学出版部
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