元記者・酒井麻里子の医学生日記
医療・健康・介護のコラム
病院見学で高ぶる心 私を待っているやるべきことの数々
9月に入り、出雲市は朝晩ひんやりした風を感じるようになってきました。夏休みが明けて後期の授業が始まり、また大学で講義を受ける日々です。
医師になるまでのあと2年半には、日々の試験や卒業試験、国家試験とたくさんの関門があります。先は長いですが、これからを過ごす上で、貴重な体験をしました。
夏休みももう終わりかけの8月下旬、地元の出雲市立総合医療センターを訪ねました。この病院の内科診療部長の駒澤慶憲先生が、前期に消化器内科の授業に来ておられ、内視鏡治療を一度見においで、とおっしゃっていたのです。
そこで、同級生と一緒に、時間のある夏休みに訪ね、内視鏡の検査や治療を見学させてもらうことにしました。
出雲市立総合医療センターは、大学のある出雲市中心部から車で40分くらいのところにあります。緑が多い道を走って行くと、病院が見えてきました。
朝9時半に到着すると、駒澤先生と同じ内科の結城美佳先生が待っていてくださいました。お二人は、内視鏡を使った検査や治療に力を入れておられます。
患者さんに断って、鼻から内視鏡を入れて食道や胃などを検査したり、大腸ポリープを内視鏡を使って取ったりする様子を見学させていただきました。
授業のスライドで小腸や大腸の中の様子を見ていましたし、解剖実習で人の胃や腸に触れていましたが、実際に内視鏡を通じて、胃や腸の中を見るのは初めてでした。
消化管の中にあるひだの様子に目が 釘 付けになりました。
私が見入っている間にも、先生方は患者さんに様子を説明しながら、スムーズに検査や治療を進めていかれます。
見学の最後に、食道、胃、十二指腸の模型を使って、内視鏡の操作をさせてもらいました。頭の中で胃や腸がどんな構造をしているか思い浮かべながら、
内視鏡を操作していくのですが、やってみるととても難しかったです。そして、内視鏡にもっと触れてみたいと思いました。
内視鏡を使って検査や治療が一人前にできるようになるには、何年もかかるそうです。
4年生は秋以降、また授業と試験に追われることとなります。来年1月には、病院実習までに身につけておくべき知識や、基本的診療技能・態度の試験(共用試験CBT、OSCE)があります。その試験に合格すると、病院実習が始まり、卒業試験があって、そして6年生の終わりに医師国家試験があります。
卒業後も、最初の2年間は初期研修医として 研鑽 を積みます。
そう思うと、これから待ち受けているステップはいくつあるのでしょう。けれど、病院を実際に見ることで、これから時間をかけていろいろなことを一つ一つ身につけていける楽しさがあることを垣間見ることができました。
ゆくゆくどの診療科に進むかはまだ分からないですが、どの診療科に進んだとしても必要な技術があるでしょうし、何年もかけてそうした技術を身につけていけるなんて、すごくやりがいがあると思いました。
これからやるべきことが待っていることに、ワクワクするのです。
出雲市の秋の空は澄んだ青がとてもきれいです。島根大学では医学部編入試験の最終試験の時期です。緊張でたまらなかった2年前のあの日も、青空が広がっていました。
2年後に、この地でこんなことを考えているなんて、必死だったあの頃は思いもしませんでした。
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内視鏡も性能が上がり、また、病理確認の拡大鏡のついたものやその他の機能も付加されたものが出てきておりますし、内視鏡のみならず、超音波、CT、MRI、PETなどは精度も速度も大幅に向上しています。
また、局所疾患と全身疾患を繋ぐ微小物質(サイトカインやマイクロRNAなど)の存在や役割も機械の発達と研究者の努力でどんどん解明されています。
そういった、画像診断の発達や疾患概念の塗り替えが診療ガイドラインにも大きく影響を与えています。
特に、医学生のうちは国内外ともに学会費が大幅に減免あるいは無償化されるので、ぜひ学会に参加してみてください。
どういう施設で、どういうキャリアを歩むかの判断の一助になると思います。
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