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宋美玄のママライフ実況中継

yomiDr.記事アーカイブ

俳優の性暴力事件 報道やネットの騒ぎにもの申す

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観賞用のススキで弟を叩く娘です

観賞用のススキで弟を叩く娘です

 麻疹(はしか)はますます広がりを見せて、パンデミック(大流行)になってきているようです。個人でできることは、ワクチンを打ったり、流行時にはなるべく出歩かなかったりするなどしかありません。MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)はすでに不足してきていますが、厚労省は「定期接種分を確保するように」と自治体や医療機関に通告するだけで、これでは聖書ではありませんが、5つのパンと2匹の魚で国民全員をおなかいっぱいにしろと言っているのと変わりません。国が責任を持ってMMRワクチン(おたふく風邪・麻疹・風疹混合ワクチン)を輸入するなどの措置をとってほしいですが、今回も喉元すぎて熱さを忘れるのを待っているつもりでしょうか。

被害女性を侮辱するような語られ方も

 旅行に出かけたりして、あまり話題についていっていなかったのですが、俳優が強姦致傷の疑いで逮捕され、不起訴処分で釈放になったというニュースがありました。このニュースをめぐって、いろんな報道やネット上の論争があるようで (のぞ) いてみたのですが、日本における性暴力事件の認識のされ方にはまだまだ問題があると感じました。

 性暴力は被害者の身体だけでなく、心にも深い傷を負わせる重大な犯罪です。しかし、今回の事件は容疑者が俳優であったことから、芸能ニュースとして扱われ、容疑者本人や家族の今後の仕事や各媒体の対応、親交のあった芸能人のコメントなど事件の本質とは離れたことが大きく扱われ、容疑者が釈放された時も「世間を騒がせて迷惑をかけたこと」に対して謝罪していました。

 また、事件そのものに対しても、被害女性が40代であったことを「40代女性でも被害に遭うのか」「いや、美人だったらしい」と被害女性の性的魅力を値踏みする報道や、ハニートラップ説など、憶測で被害女性を侮辱する言説が出回っていました。

性暴力に対する根深い偏見や誤解

 私自身は今回の事件の「真相」や「詳細」にはそれほど興味はありません。被害者(容疑者も)のプライバシーや今後の生活のこともありますし、芸能ニュースのコンテンツとして消費することには賛成できません。

 それよりも、今回の事件でも起こったように、被害者を値踏みしたり、もっと抵抗できたのではないか、挑発するような服装だったのではないか、など性暴力事件となると被害者側に落ち度がなかったかを、世論も司法も追求するのは間違いであることをこの機会に認識していただきたいと思います。

 我々産婦人科医は警察からの要請で、強姦に遭った女性の診察を担当します。私が経験しただけでも被害者は10代~50代と幅広く、露出の高い服を着ていた人の方が少ないです。また、明るい時間でも被害に遭うこともありますし、知り合いの犯行も多いです。AVの作ったファンタジーのために、最初はいやがっていてもそのうち女性がOKすると思っている男性も少なくないようですが、最初でも途中でもNOと言えばNOです(これは男女が逆の場合や同性間でも同じです)。

 残念ながら産婦人科の医師(女性を含む)でも、性暴力は女性の無知で起こると思っている人や、強姦後の診察で被害者に説教をする人もいるので、一般の方々の前に我々がもっと勉強する体制を整えないといけないのです。

 でも、物を盗られた人にはあまり「盗られた方に非はなかったか」ということは言わないのに、より凶悪な犯罪である性暴力では被害者のセカンドレイプが横行していることについては、私も一言言わせていただかずにはいられませんでした。

厳罰化や被害者配慮の動きも

 幸いようやく、法制審議会が性犯罪について刑法を見直すような動きがあるという報道がありました。法改正が実現すれば、厳罰化はもとより、強姦が親告罪でなくなり、被害者個人が告訴しなくても起訴できるようになります。男性も女性の被害者と同様に扱われるようになりますし、近親姦も刑法の強姦罪の対象になります。近親者による子どもの性暴力も近親者が逮捕されるようになるので、子どもが児童相談所に保護されなくて済むなどの変化が起こります。

 痴漢がお笑い番組の刑務所コントで、笑いを呼ぶ「ズッコケ前科」扱いになっていた30年前から確実に進歩していくと思いたいです。

 これを読んでくださった方が少しでも性暴力の被害者を偏見の目で見なくなりますよう、お願いしたいと思います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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2件 のコメント

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さすがに

テスト

「性暴力事件となると被害者側に落ち度がなかったかを、世論も司法も追求するのは間違いであることをこの機会に認識していただきたいと思います。」 世間...

「性暴力事件となると被害者側に落ち度がなかったかを、世論も司法も追求するのは間違いであることをこの機会に認識していただきたいと思います。」
世間はともかく、また、「被害者側に落ち度がなかったか」の意味するところが曖昧ですが、司法が事件の真相を追究するのは当然のことでしょう。冤罪事件もあるわけですし。
「司法によるセカンドライプ」といった批判もわかりますし、もちろん被害者への配慮は今以上に必要でしょうが、かといって「被害者」の一方的な証言による被疑者(容疑者)への人権侵害も許されるものではありません。

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最近空港近くに男女専用スペースで泊まれたりシャワーだけ使えたりという施設ができています。これなら強姦事件は同性になるのでしょうか? 次ぎに被害者...

最近空港近くに男女専用スペースで泊まれたりシャワーだけ使えたりという施設ができています。これなら強姦事件は同性になるのでしょうか?
次ぎに被害者への偏見をもたないのと同時に加害者への偏見もなくしてほしい。
統合失調の患者さんを支援しているのですごい迷惑です。
一部では犯罪者には発達障害があるとか少し精神疾患があるとかいい加減な記述もみられます。そういうのを規制してほしいです。憶測や表現の自由とかで不特定多数の前で話したり記事にしたりしたら罰則等の処分にしてもらいたいです。いい加減な治療法の流布とかも範疇にはいりますので是非やって欲しいものです。せっかく服薬をしても毒だなんていい加減なこといわれて支援している患者さんが服薬やめちゃった時は難儀しました。行方不明になっちゃうし大変でした。

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