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「学童保育」って、どういうもの?
親が昼間いない子預かる


「学童保育」って、
どういうものなの?
「カギっ子」って知ってるかな。今から半世紀以上も前、日本の経済がすごく発展し、共働き家庭が増えた頃に生まれた言葉だよ。小学校が終わって家に帰っても、親がまだ働いていて、家には誰もいない子どもがカギを持ち歩く姿が目立って、そう呼ばれたんだ。
不審者に声をかけられたり、家にいてもテレビ漬けになったり。そんなカギっ子の放課後の過ごし方が問題化したため、安全で健全に過ごせる居場所を作ろうと始まったのが「学童保育」だ。「放課後児童クラブ」とも言うよ。親たちの自主的な取り組みとして始まったのが、1997年には児童福祉法に基づく事業に位置づけられたんだ。
親が昼間いない小学生が放課後や長期休みの時に集まり、一定の研修を受けた「支援員」というスタッフらが見守る中、読書や工作をして遊んだり、宿題をしたりして過ごす。全国に約2万2000か所あり、半分が空き教室など小学校の中で運営され、保育所や民家を使うところもある。利用料は月平均で7000円ぐらい。利用する児童は100万人を超えるよ。
最近は希望の保育所に入れない「待機児童」が話題だけど、学童保育でも利用できない小学生がいて、昨年は約1万7000人と過去最高を更新した。国は整備を後押ししているけど、働く女性の増加などでニーズが高まっている。さらに昨年、利用対象が、おおむね10歳未満から小学6年生にまで引き上げられ、地域によって学童保育の場が不足しているんだ。
親が利用しづらい状況もある。例えば、午後6時半までに終わる保育所は全体の約2割だが、学童保育では5割を占める。働く時間を短くできる制度を使えるのは「子どもが小学生になる前まで」という企業も多いから、フルタイムで働く親は困っているんだ。
子どもが小学生になった途端、保育所に代わる放課後の預け先がなく、働き続けづらくなる問題を「小1の壁」と呼ぶ。政府は学童保育の定員を2019年度末までに30万人分増やす考えだけど、開設場所や運営スタッフを確保できるかが課題なんだ。(辻阪光平)
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