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ホントはどうなの?健康食品・サプリメント

国立健康・栄養研究所

健康・ダイエット

[ビタミンE]抗酸化で幅広い効果

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 がんや生活習慣病の予防、認知症予防にも効果があるとされているビタミンE。ビタミンの作用としては例えば、ビタミンAと視覚、ビタミンDとカルシウム吸収といったように、特異的に“効く”ことが多いのですが、ビタミンEはその主要な働きが“抗酸化”であることから効果が幅広く、ビタミンの中でもユニークな存在なのです。

 

活性酸素の攻撃から体を守る働き

 ビタミンは水溶性と脂溶性に分けられますが、ビタミンEは脂溶性ビタミンに分類されます。天然の4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールの合計8種類の物質の総称です。私たちは生命維持に必要なエネルギーを得るため絶えず酸素を消費していますが、これらの酸素の一部は、代謝過程において活性酸素と呼ばれる反応性が高い状態に変換されることがあります。活性酸素はがんや生活習慣病、老化等、さまざまな病気の原因であるといわれていますが、ビタミンEはこの活性酸素の攻撃から体を守る働きがあります。このような働きのことを抗酸化力と呼んでいます。 

 

生殖系に作用

 ビタミンEはもともと動物の餌に含まれる抗不妊(あるいは抗流産)因子として見つかったもので、前述のトコフェロールという名称は“子供を産む力を与える”という意味を持つそうです。具体的な作用は長いこと不明だったのですが、胎児の発生段階の胎盤形成時の酸化ストレスをビタミンEが保護しているのではないかと考えられています。一方で、性ホルモンの分泌を促すことで男性の精子量、精子の運動量を上昇させ、妊娠率を上げることも分かっています。

 

がん・生活習慣病の予防に効果

 様々な酸化ストレスから体を守る効果があることから、前立腺がん、胃がんや食道がんの予防に効果的であることが分かっています。また、すでに罹患りかんした胃がんの進行を遅くする効果があることも報告されています。

 また、ビタミンEは脳卒中予防にも効果があると言われています。血管の細胞膜のダメージを防ぎ、血管の健康を保つことで動脈硬化を防ぎます。心臓病の一次予防に対しても、ビタミンEの有効性が示唆されています。また、アルツハイマー病などの認知症の予防効果があることも知られています。

 

「過剰摂取=骨粗しょう症」の動物実験データも

 通常の食生活をしていればビタミンEの欠乏はほとんどないといわれていますが、消化管の疾患などの吸収阻害による欠乏症が考えられます。特に神経組織は敏感で、欠乏すると抹消感覚神経障害を引き起こすことがあるそうです。

 それではりすぎはどうでしょう? ビタミンEは吸収をコントロールする仕組みがあることから過剰摂取の影響が出にくいビタミンといわれていました。ところが最近、ビタミンEと骨に関する興味深い報告が出されました。私たちの骨は骨芽細胞と呼ばれる細胞によって作られる、破骨細胞と呼ばれる細胞によって壊される、これを繰り返しています。正常な骨の維持には両者のバランスが重要なわけです。この報告は、ラットにビタミンEを投与すると破骨細胞を活性化させ、骨が壊される方にバランスを傾かせる結果、骨粗しょう症になるというものでした。つまりビタミンEの過剰摂取=骨粗しょう症というわけです。投与したビタミンE量は人間に換算すると1000mg相当で、これはサプリメントとして摂取するに可能な量でした。

 ビタミンEは安全で人気のサプリメントでしたし、出された論文がイギリスの超一流雑誌であったことに加え、この報告は日本のグループによるものでした。当時、業界では大いに話題になりました。この結果に対する解釈として現時点では、動物実験データであり臨床データの裏付けががないことから、現在人間に対しては考慮されていませんが今後の研究の進展が望まれるところです。

 

ビタミンCと同時摂取でより効果

 ビタミンEを多く含む食材はパーム油などの植物油の他、アーモンドや落花生などがあげられます。野菜ではほうれん草やかぼちゃなどにも含まれています。日本人の食事摂取基準によりますと、成人の1日の摂取目安量は6.0~6.5mgです。これは1日当たりの摂取量をもとに決められた値ですので実際の必要量はこれよりも多いと考えられます。なお耐用上限量は650~900mgですのでこれを超えない程度の量をサプリメントなどで補うといいでしょう。

 ビタミンEは栄養機能食品としても表示許可されています。許可要件として1日あたりの上限値は150mg、下限値は2.4mgです。ビタミンEの栄養機能表示は「ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です」です。

 ビタミンEの抗酸化力は同じく抗酸化力をもつビタミンCと同時に摂取するとより効果が期待できます。マルチビタミンなどのサプリメントを上手に利用するといいでしょう。

 ビタミンEの安全性・有効性に関する科学的根拠は以下のサイトを参照してみてください。

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報サイト

 

(国立健康・栄養研究所 山内 淳)

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