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関西空港はしか拡散…追跡困難、さらに感染連鎖の恐れ

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関西空港はしか拡散…追跡困難、さらに感染連鎖の恐れ
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麻疹について注意喚起の文書を表示するモニター(5日午後、関西空港の国際線出発フロアで)=近藤誠撮影

 関西空港で、8月中旬から 麻疹はしか の集団感染が広がっている。5日までに関空の従業員32人と、その診察や搬送にあたった医療関係者2人、一般客3人の計37人が発症。今後も拡大が心配されている。国際線だけで1日数万人もの利用客がある〈空の玄関口〉で麻疹の感染はどのように広がったのか。

■7月31日

 「関空を7月31日に利用した誰かから広がったとみるのが有力だ」

 関空を運営する関西エアポート幹部は、関空関係者らが次々と麻疹に感染する「関空ルート」の起点を7月末と推定する。

 根拠は、厚生労働省などによる麻疹感染者の行動調査。国内で8月9~11日に、麻疹を発症した4人が全員、7月31日に関空にいたことがわかり、麻疹の潜伏期間(10~12日)から逆算すると、この時期に関空にいた「誰か」から感染したとみられるためだ。

 4人の内訳は1人が関西エアポートのグループ会社の従業員、残り3人は一般客で、麻疹の遺伝子型も同じ「H1」で中国やモンゴルで多い型だった。

 さらに、感染した一般客3人のうちの1人については、兵庫県内の家族4人と、8月に行った千葉市でのコンサート会場にいた2人の発症が確認されており、「関空外」にも感染が広がっている。

■「風邪」と診断

 関西エアポートによると、7月末に感染したとみられる従業員は、国際線でカウンターなどの接客を担当。8月9日に勤務中、発熱し、医療機関では当初、「風邪」と診断された。

 診断後、従業員はいったん休んだが、熱が下がり、同13日に出勤。だが再び発熱して同日、早退し、2日後に体調が悪化して救急搬送され、17日に麻疹と診断された。

 その後、この従業員の同僚らが8月27日以降、次々と発症。大半が20~30歳代で、ワクチンの定期接種を1回受けるか、受けそびれたとみられる若い世代だ。また関連は不明だが、8月28日に関空対岸の商業施設を利用した30歳代の男性1人も麻疹と診断された。

 関西エアポート幹部は「8月9日の診察時点で『麻疹』と診断できていれば、拡大は防げたかも」と話すが、麻疹の発生件数は全国でも2015年は35件と少なく、同年3月、世界保健機関(WHO)は日本に土着のウイルスがいない「排除状態」と認定。大阪府医療対策課の幹部はこう話す。

 「麻疹は日本ではほぼなくなったとされているうえ、風邪と見分けがつきにくく、医師も気付けなかったのだろう」

■1日最高6万人

 麻疹の集団感染は今夏、関空とは別ルートで千葉県松戸市などでも起きているが、1日に数万人が行き交う「関空ルート」での調査対象の規模は、同市などに比べて、はるかに大きい。

 今夏のお盆の時期は、1日の利用客が国際線で約6万人と1994年の開港以来、最高を記録。厚労省担当者は「利用者の行動を追うのは、至難」と指摘する。

 また、麻疹の潜伏期間を考慮すると、二次感染した関空従業員らから、さらに感染が広がる三次感染の発症時期が9月上旬にあたり、「今後も油断はできない」(関西エアポート幹部)と警戒する。

          ◇

  国立感染症研究所の大石和徳・感染症疫学センター長の話 「関空での感染ルートの調査は現実的にはハードルは高いが、誰に接触したのかなどを調査することは重要だ。国際空港は国の玄関口として、医療機関レベルの意識で予防と対策を講じる必要がある」

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