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親と暮らせない子どもはどこで暮らしている?
「施設から家庭へ」流れ推進
親と一緒に
暮らせない
子どもは、どこで
暮らしているの?
子どもは、だれもが自分のお父さんやお母さんと家庭で暮らしているわけではない。親のいない子や、親がいても一緒に暮らせない子が日本には3万6670人いるんだ。保護者の代わりに国や自治体が18歳まで育てることになっていて、これを「社会的養護」という。育てられる子は「要保護児童」と呼ばれるよ。
なぜ親と暮らせないのか、事情はさまざまだ。親を亡くした子、親が病気で入院した子……。親が失業し、経済的な余裕がなくて育てられない場合もある。最近増えたのは、暴力や育児放棄などの虐待で親元から引き離されるケースだ。
こうした子どもの生活の場は、大きく分けて「施設」と「家庭」の二つがある。
圧倒的に多いのは施設で、要保護児童の84%が児童養護施設などに入所している。施設の暮らしが家庭環境と決定的に違うのは、同じような境遇の子ども同士が、複数の職員に見守られながら集団生活を送るところだね。規模は施設ごとに6~150人程度とまちまちだけど、基本的に相部屋で過ごし、寝食を共にする。学校もここから通う。
一方、残る16%は家庭で過ごしている。親代わりとなる里親夫婦が自宅で養育するのが主流。このほか、5~6人を育てるファミリーホームも増えてきた。
ただし、諸外国と比べ、まだ日本は家庭養護の比重がだいぶ少ない。施設には専門職がいて様々な状況の子どもに対応ができる利点もあるけれど、やはり家庭で過ごせば、里親のような決まった大人とじっくり安定した関係を築ける。子ども一人ひとりの生活にも目が届きやすい。家庭とはどんなところか、自然と理解するから、成人して家庭を持つときに役に立つ。
これからの課題は「施設から家庭へ」の流れを着実に推し進めること。今年改正された児童福祉法では、できるだけ家庭と同じような環境を重視する方針を明確にした。里親からさらに一歩進み、法律上の親子となる特別養子縁組を増やす議論も始まった。代わりになる家庭をたくさん用意してあげることが、社会としての責任だと思う。(高倉正樹)
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