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[認知症のはてな](5)日常支える在宅介護サービス

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 認知症の人が、住み慣れた地域や自宅で、できる限り長く、日常生活を送るため、地域には、主にどんな在宅介護サービスがあるのだろう。その種類と特徴をまとめた。

対応型デイサービス…手厚い常時職員配置

[認知症のはてな](5)日常支える在宅介護サービス

カスタネットなどの楽器を使い、昭和の歌謡曲などを歌う利用者ら(東京都板橋区の「紙風船」で)

 東京都板橋区の女性(85)は3年前から、週4回、区内の認知症対応型デイサービス「紙風船」に通う。7年前にアルツハイマー型認知症と診断された。

 認知症対応型デイサービスは、認知症の診断を受けた高齢者らが使える介護保険サービスだ。入浴、食事などをはじめ、専門的な機能訓練などを受けられる。厚生労働省の調査によると、全国に約4200か所(2014年度)ある。

 「紙風船」では、脳を活性化させるというトレーニングに力を入れている。午前中は塗り絵やパズル、午後は椅子に座ったまま行うホッケーなどの運動やタンバリンなどの楽器を使った歌の時間――という具合だ。「紙風船」を運営する竹前久美子所長(63)は「季節感を感じてもらいたいので、散歩も積極的に行っています」と話す。

 一般的なデイサービスよりも職員配置の基準が手厚い点も、認知症対応型ならではの特徴だ。「紙風船」の場合、利用者12人に対して常時職員が7~8人いる。一人ひとりにきめ細かい対応が可能で、家事が得意という冒頭の女性の意欲を引き出そうと、食器洗いなどの家事をお願いしている。女性の長女(63)は「役割ができてから、母の表情が生き生きしている」と話す。

小規模多機能型…通い、泊まりなど同時に

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 また、認知症の人やその家族にとっては、「小規模多機能型居宅介護」も心強い味方だ。一つの事業所で食事や入浴などのサービスを受ける「通い(デイサービス)」、一時宿泊する「泊まり」、スタッフが自宅に来る「訪問介護」を同時に提供しているのが特徴。厚労省の調査(2014年度)によると、事業所は全国に約4600か所ある。

 社会福祉法人「ノテ福祉会東京本部」(東京都世田谷区)が運営している事業所には、利用者26人が登録する。午前中からデイサービスを利用し、夕方の帰宅後は、服薬管理などで10~15分程度の訪問介護を受ける人が多いという。同会の板垣貴宏さんは「認知症の人は知らない人との接触がストレスになることもあるが、この事業では、顔なじみのスタッフとの間で信頼関係を築きやすい」と話す。

 利用料は要介護度ごとの月額定額制で通いと訪問はどれだけ利用しても料金が同じなのも特徴。泊まりや食費は別料金だ。利用者の情報を一元的に把握できるのもサービスの強みで、板垣さんは「在宅介護の最後の とりで と言えます」と話す。

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※厚生労働省のホームページなどを基に作成。利用者負担は、住んでいる地域や事業所の各種加算状況などにより異なる。小規模多機能型居宅介護の利用者負担に宿泊費は含まれない

定期巡回・随時対応型…1日に数回自宅訪問

 一方、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、24時間365日、自宅に駆けつけてくれるサービスだ。ヘルパーや看護師が必要に応じて1日に3~6回、利用者宅を訪れる。1回の滞在時間は5~10分程度。費用は「小規模多機能型居宅介護」と同様、月額定額制だ。ただ、事業所は全国に約470か所(2014年度)と少ない。

 「ノテ福祉会東京本部」では、このサービスも行っている。薬の飲み忘れやトイレの流し忘れがないかをチェックする――といった利用が目立つという。最近は、家族と暮らしていても日中は一人で過ごす高齢者も多い。夏場の熱中症を防ぐため、利用者宅に設置したモニターを通し、水分補給を促すこともあるという。

 サービスを担当する赤田正樹さんは「認知症の人は、おぜん立てをしたり、適切に声かけをしたりすれば、自ら行えることは多い」と指摘。「できるだけ長く、自宅で暮らせるよう、本人の能力を引き出すことが大切な務めです」と話す。(板垣茂良)

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