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「コンサートに麻疹感染者が参加、感染拡大の恐れ」で学ぶべきこと

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「コンサートに麻疹感染者が参加、感染拡大の恐れ」で学ぶべきこと

 巨大コンサート会場を訪れた男性が、 麻疹(はしか) に感染していたことがわかりニュースとなっています。

 参照:麻疹感染の男性が巨大コンサートに参加…厚労省、感染拡大の注意喚起( https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160825-OYTET50041/

 麻疹は、空気感染する感染力が非常に強い感染症です。このため、同じコンサートに参加した他の人にも、二次感染の発生が心配されています。今回は、この麻疹のニュースについて解説することにしましょう。

 8月14日に千葉県の幕張メッセで開かれた人気外国人アーティストによる大規模コンサート。ここを訪れた男性が、麻疹に感染していたことがわかりました。その男性は、海外渡航後の発症であったことから、現地で麻疹に感染したと考えられています。そして、行政からの報道発表資料では、最初に診断された男性の同居家族3名も、麻疹を発症したことが報告( http://www.nishi.or.jp/Press/contents/00001456.html )されています。

今の麻疹は海外から持ち込まれる「輸入感染症」

  日本の麻疹は、2015年3月27日に「排除状態」と認定されていました。「排除状態」というのは、海外からの輸入感染以外の発生が3年以上抑え込まれていることを条件に、WHOによって決定されます。しかし、日本が「排除状態」となっても、世界には麻疹が押さえ込まれていない国々が多く残っています。今回のように麻疹は、海外から持ち帰ってくる輸入感染症となっているのです。

米国で起こった麻疹の流行も輸入感染がきっかけ

  米国では、このような輸入感染として発生した麻疹がきっかけで、国内での大きな流行となってしまった事例が発生しています。米国も日本と同じように麻疹が「排除状態」となっていた国でしたが、その国でも麻疹の流行が起こってしまったのです。2015年1月に米ディズニーランドで発生した麻疹は、その時に集まっていた客や従業員を介して、米国の各州へと広がっていきました。こちらは、その時の状況をとりあげた記事です。

 参照: 『米国での麻疹アウトブレイク』あれどこ感染症

二次感染のリスクについて

  麻疹は、10~12日の潜伏期間をおいて、鼻水などの軽い風邪症状の時期(カタル期)から、高熱や発疹が出現するというのが典型的な経過です。麻疹は空気感染する、感染力が非常に強い感染症であり、発症初期のカタル期が最も感染力が強い時期とされています。つまり、ひどい高熱や発疹がでる前から、人に感染させる可能性があるのです。今回のコンサートが開催されたのは、8月14日ということなので、ちょうど今が二次感染として発症しやすい時期となります。さらに、感染した男性が麻疹と診断されるまでに訪れた場所や交通機関でも、二次感染が起こる可能性があります。

2週間の潜伏期間後、二次感染発症に注意…必要な対応は?

  発症した男性が訪れた8月14日開催のコンサートに参加された方は、潜伏期間の約2週間を越えるまでが、二次感染としての発症に注意すべき期間となります。もしも、「麻疹にかかったことがなく、ワクチンを接種していないか接種歴不明」の方が、この期間に風邪症状がではじめたらマスクを着用するようにしてください。そして発熱や発疹が出現するようなら、保健所や医療機関に相談するようにしてください。今回は、日本各地からもコンサートに参加した人がいるはずです。したがって、診療所や病院においても、疑いがある症状を診療した時には、現地に行っていなかったかを確認する必要があります。

麻疹は直接の治療薬なし、予防が大切

  麻疹には、発症してからの直接の治療薬はありません。重症化すると肺炎や脳炎を合併して死亡したり、回復しても障害が残ってしまうこともあります。したがって、予防接種によって感染しないようにすることが、最も有効な対策となります。

麻疹対策を考える上で重要な事例に…輸入感染症を再確認

  今回の事例は、今後の日本における麻疹対策を考える上でも重要です。医療関係者も、日本の麻疹が輸入感染症となっているということを再確認しておきましょう。海外へ渡航する予定の方は、もしも「麻疹にかかったことがなく、ワクチンを接種していないか接種歴不明」という場合には、渡航前に予防接種を受けておくことをおすすめします。また、国内が「排除状態」になったからといって安心していてはいけません。これからは、この「排除状態」を維持していくことが重要です。安心してワクチン接種率が低下すると、感染しやすい感受性者が増えていきます。そして、輸入感染をきっかけに再び流行が始まってしまうのです。

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