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QOD 生と死を問う 第2部

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[QOD 生と死を問う]読者から質問・感想…救急車呼ぶべきか、判断難しい

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「かかりつけ医」決め、普段から相談を

[QOD 生と死を問う]読者から質問・感想…救急車呼ぶべきか、判断難しい
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患者宅を訪問して診療する野村医師(中央)=神奈川県横須賀市で

 超高齢社会となり、年間130万人以上が亡くなる中、質の高い死とは何かを考える年間企画「QOD 生と死を問う」(第1部4月3日から3回、第2部7月17日から4回)には多くの質問や感想が寄せられた。一部を紹介する。

 ■ 看取る状態とは?

 東京都の主婦、宮永千佳子さん(72)は、「穏やかな最期が理想だが、実際には救急車を呼ぶべき時なのか、静かに 看取みと る状態なのか。その分かれ目が、私たちにはわからない」と訴える。高齢者の救急搬送について、対応に悩む読者の声が多数寄せられた。

 神奈川県横須賀市で20年以上、訪問診療を行う野村内科クリニックの野村良彦医師は「それを判断するのが、普段から診ている『かかりつけ医』の役割。ある程度年を取ったら、大きな病気がなくても、かかりつけの医師を持っておくことが大切」と話す。

 日頃から、かかりつけの医師や看護師らと話し合う中で、本人や家族が延命治療をどうしたいのかを考え、看取りが近づくと、どんな状態になるのかを理解でき、あわてずにすむという。

 ただ、総務省消防庁は「困った時や判断がつかない場合は、119番することに遠慮はしないでほしい」(救急企画室)としている。

 ■ 罪に問われる?

 「自宅で呼吸停止した場合など、救急車を呼ばないと罪に問われてしまうのではないか」(50歳代女性)という意見も目立った。

 野村医師は、「救急車を呼ばないと罪に問われるというのは誤解。救急車を呼んでも、警察に事情を聞かれる可能性はある。すぐに医師に診せなければと焦るだろうが、翌朝、かかりつけ医に連絡すれば十分なことも多い」と説明する。

 高齢者が自宅や施設で息を引き取った場合、原則としてかかりつけ医が訪問して死亡診断書を書く。生前の病気を知っており、老衰で死期が迫っていたかどうかを判断できるからだ。

 厚生労働省によると、医師は亡くなる瞬間に立ち会わなくてもよく、亡くなった翌日の診察でも、法的には問題ないとしている。

 一方、救急搬送先で初めて診察した医師には、こうした判断ができないことが多く、「異状死」の可能性を疑う。事故や事件性が疑われたり、死因が分からなかったりする場合は、医師から警察に届け出る。

 警察からの要請で東京23区内の死体検案を行う東京都監察医務院は「自宅で病死して、検案するケースは増加傾向にあり、珍しいことではない」としている。

 < 異状死 > 医師法21条で、医師は死体に異状を認めたとき、24時間以内に警察に届け出なければならないとされる。ただ、定義は明記されていない。日本法医学会のガイドラインでは、外因による死亡(事故、自殺、他殺)や、死因が明らかでない(診療中の病気によって死亡したと判断できない)などを異状死としている。

 (小沼聖実、手嶋由梨)

訪問看護師や介護士、どう探す

 「助言をしてくれるかかりつけ医や訪問看護師、介護士は、どうやって探すのか」という質問も多かった。

 84歳の父親を今年1月に亡くした横浜市の女性(45)は、記事で紹介されていた訪問看護師の「最期になれば、病院と自宅で出来ることに差はありません」という言葉に、「そんな風に言ってくれる人と私も出会えていたら」と感想を寄せた。女性の父親は、わずか1か月足らずの入院中、「(家に)帰りたい」「車出してくれ」と時には声を荒らげ、繰り返し訴えたという。「父の望みをかなえられなかったことが悔やまれます」

 埼玉県の岡野芳太さん(79)は「なじみの訪問看護師を持つことは、山村部では難しい。近くに事業所は見当たらない」とした。訪問看護などの事業所は都市部に集中している実情を訴えた。

 訪問診療をしてくれる医師や看護師を探す場合、まず、各自治体の地域包括支援センターに相談するとよい。介護保険を利用している場合には、ケアマネジャーに相談できる。

 また、香川県内の特別養護老人ホームの看護師(49)は「職員や嘱託医の看取りに関する知識や理解も不十分だし、入所者の家族も死を連想する言葉を嫌う傾向がある。前もって死に際しての意向を確認できず、安易な救急搬送につながっている」と、看取りに十分に対応できていない施設側の現状を訴える。

 「本来なら、生活の場で安らかに見送るべきなのではないかと思う。どのように死を迎えたいか、日頃から話をして信頼関係を築いていく必要がある」とつづった。(大広悠子)

 ◎QOD=Quality of Death(Dying) 「死の質」の意味。

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